国立感染症研究所

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2012~2017年度の仙台市におけるサポウイルスの検出状況について

(IASR Vol. 39 p127-128: 2018年7月号)

2012~2017年度の間, 「感染症発生動向調査」に基づいて仙台市内の病原体定点より搬入された感染性胃腸炎発症者(以下動向調査)検体, および同市内の感染性胃腸炎集団発生事例(以下集団事例)検体におけるサポウイルス(SaV)検出状況について報告する。SaVの検出はF13/F14-R13/R14およびF22-R2プライマーを用いるnested RT-PCR法1)で行い, ダイレクトシークエンスにより, SaVカプシドをコードする遺伝子領域の一部(約380塩基)を決定後, 既報の分類法2)で遺伝子型を同定した。

2012~2017年度に動向調査検体78件, 集団事例14例(解析検体数27)よりSaVが検出され, 2017年度は動向調査検体数, 集団事例数いずれも当所でSaVの検査を開始した2012年度以降では最も多かった(表1, 表2)。2012~2017年度の動向調査検体におけるSaV検出率は11.7%(78/665), 検出したSaV遺伝子型の内訳はGI.1(n=35), GI.2(n=11), GI.3(n=2), GII.1(n=7), GII.2(n=4), GII.3(n=9), GII.5(n=1), GIV(n=5), GV.1(n=3), GV.2(n=1)であった(表1)。集団事例においては14事例から検出されており, 保育所における発生が最も多く(14事例中9事例), その他小学校, 社会福祉施設, 幼稚園で発生が認められ, 検出したSaV遺伝子型の内訳はGI.1(6事例), GI.2(2事例), GI.3(1事例), GI.6(1事例), GII.3(2事例), GIV(1事例), GV.1(2事例)であった(表2)。集発事例で複数の発症者から検出された同一遺伝子型のSaVは塩基配列が完全に一致していた。ただし, 1例においては解析した3件で異なる遺伝子型のSaVが検出された(表2, 事例No.10)。また, 2例においてはノロウイルスとの混合感染であった(表2, 事例No.2, No.4)。SaV検出者の年齢は動向調査で4か月~9歳, 集団事例(社会福祉施設を除く)で0~11歳, 社会福祉施設の集団事例で28~59歳であり, 特に大きな特徴は認められず, 発生地域にも疫学的な特徴は認められなかった。

感染性胃腸炎の発生動向調査の検査において, 当所ではノロウイルス(NoV)とSaVのRT-PCRを実施している。SaV GV.1を検出した6検体中2検体においてCOG2F/G2SKRプライマーを用いるNoVのRT-PCR3) で通常の増幅産物より小さい約350bp付近にバンドが認められた。しかし, これらの検体はNoVのリアルタイムPCR3)で陰性であったことから, このRT-PCR産物の塩基配列を決定しBLAST検索を実施したところ, SaVの非構造タンパク質NS42)をコードする遺伝子領域の一部であることが明らかとなった。SaVのリアルタイムRT-PCR4)で106コピー/反応系以上の検体でCOG2F/G2SKRプライマーを用いたRT-PCRの偽陽性バンドが認められたため, 同様の系でNoVの検出を行っている場合は, この問題に注意が必要である。

仙台市においては2012~2017年度に11のSaV遺伝子型が検出された(表1, 表2)。SaVの遺伝子型同定を行うことは, 流行株の変遷をとらえるのに有用である。今後も地方衛生研究所の業務として可能な限りの解析を実施し, そのデータの蓄積・共有等によって公衆衛生行政に寄与していきたい。

 

参考文献
  1. Okada M, et al., Arch Virol 151: 2503-2509, 2006
  2. Oka T, et al., Clin Microbiol Rev 28: 32-53, 2015
  3. 「ノロウイルスの検出法」(厚生労働省平成19年5月14日食安監発第0514004号)
  4. Oka T, et al., J Med Virol 78: 1347-1353, 2006

 

仙台市食肉衛生検査所
 牛水真紀子
仙台市衛生研究所
 関根雅夫 毛利淳子 勝見正道 相原健二
長谷川小児科医院
 長谷川純男

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