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国立感染症研究所ウイルス第三部で、新型コロナウイルスの分離に成功しました。使用した細胞はVeroE6/TMPRSS2細胞​(TMPRSS2というプロテアーゼを発現している)です。臨床検体を接種後、細胞の形状変化を観察し、多核巨細胞の出現を捉えました。

細胞上清中のウイルスゲノムを抽出して、ほぼ全長のウイルスゲノムの配列を確定しました。これは、最初に発表されたウイルスの遺伝子配列と99.9%の相同性がありました。

分離したウイルスを用いて、ウイルス感染機構及び病原性の解析、ウイルス検査法・抗ウイルス薬・ワクチンなどの開発を進める予定です。また、新型コロナウイルス対策に役立てるため、ウイルスと細胞は国内外に広く配布する予定です。

※下のサムネイル画像をクリックすると、大きな画像を取得することができます。

2019-nCoVの電子顕微鏡写真 2019nCoV 200130monos thumb

当研究所で分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真像

粒状の粒子の上にコロナウイルス特有の冠状のスパイクタンパク質が観察できます。

2019-nCoVによる細胞変性像 2019nCoV 200130cellculture thumb

VeroE6/TMPRSS2細胞に出現した新型コロナウイルスによる細胞変性像

画面の中央に多数の核の集積像(多核巨細胞像)が確認できます。

2019-nCoVに感染した細胞の蛍光抗体染色像 2019nCoV 200130fluoro thumb

VeroE6/TMPRSS2細胞に新型コロナウイルスを感染させて、細胞変性後に感染者の血清中の抗ウイルス抗体とウイルスが反応するのを観察したものです。抗体を緑色の蛍光抗体で検出しています。緑色に光る像がウイルスと反応した抗体を、青色に光っているのは細胞核を表します。

 

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