国立感染症研究所

時間:13:00-13:30(開始15分前より整列開始・整列順に入場)
対象:一般向け
 
2013-lecture-Matsuyama

 講師:松山 州徳

国立感染症研究所 ウイルス第三部第四室 室長

 


経歴

1996年に日本大学を修了後、医学雑誌編集者として出版会社に勤務。1997年より国立精神神経センターにてコロナウイルスの研究に携わり、2001年に博士号を取得。米国バージニア大学留学を経て2003年に国立感染症研究所に着任し、2010年より現職。重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)の細胞侵入メカニズムを研究し、これらの感染症対策への貢献をめざしている。


講演要旨

 昨年2012年4月から現在まで、サウジアラビアを中心にアラビア半島全域で、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスによる重症肺炎の患者が見つかっています。今年の3月29日までの時点では207人の感染者と86人の死亡が確認されていましたが、その後の1か月間をピークに感染者は急増し、2014年7月10日までに721人の感染者と295人の死亡が確認されています(致命率41%)。感染者全体の25%程は医療関係者であり、病院内ではヒトからヒトへの感染が頻繁に確認されています。ウイルスの感染源としてヒトコブラクダが最も疑わしい候補としてあげられていますが、ラクダに接触して感染した人は少数であり、多くの感染者の感染経路は不明であることから、不顕性感染でヒトからヒトへ感染している可能性も指摘されています。2012年4月に最初の感染者が見つかり、2013年4月には患者発生の小さいピークが見られ、2014年4月には400人以上の大きなピークが見られたことから、もしラクダのライフサイクルとMERSの発生が関連しているのであれば、2015年の4月にも同様な傾向が繰り返されることが予想されます。
 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

Top Desktop version