国立感染症研究所

■ Q5. インド渡航時のワクチンについて

 9月に2週間、インドにある施設へ、ボランティアに行きます。施設の中には、さまざまな病気を持った方が多数いらっしゃいます、マスク、手袋着用を奨めると書いていました。インド入国に際して、予防接種は義務付けられていないようですか、水を中心に、いろんな病気が心配されます。インドへ行く際に、考えられる予防接種を教えていただきたいです。また、予防接種はどこの病院でも受けることができるのでしょうか?予防接種で発熱をする人もいると聞きましたが・・・。何ヶ月か前にうけるべきなのでしょうか?

(滋賀県: 30代 学生)

 答え

  予防接種には、弱毒化した生きた病原体を含む弱毒生ワクチンと、生きた病原体は含まれておらず、不活化された病原体の全部あるいはその一部を含む不活化ワクチンの二種類があります。

 基本的に、1つずつ別々にワクチンを受けるのであれば、次の接種を受けるまでには、弱毒生ワクチンは接種後最低4週間、不活化ワクチンは接種後最低1週間の間隔をあけなければなりませんが、同じ日に別々の場所に複数のワクチンを接種することは可能です。まだ渡航まで3か月以上ありますから、余裕をもってご相談いただいていると思いますが、渡航者のための予防接種外来等では、5種類あるいは6種類のワクチンの同時接種もよく行われています。同時に複数のワクチンを受けても有効性や安全性には問題はありません。

 インド渡航にあたり、予防接種で予防できる感染症を考えますと、以下の様になるかとおもいます。


【弱毒生ワクチン】
 ポリオ(インドは現在も野生株ポリオが流行している国の1つです。小児期に2回生ポリオワクチンを接種されていると思いますので、3回目のワクチン接種を受けてから渡航されると良いと思います。母子手帳で受けた回数をご確認ください。)

 他に、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜなども、もし海外で発症すると大変です。まだ渡航までに余裕がありますので、かかってない、かつ予防接種も受けたことがないものがあれば、接種を検討された方が良いと思います。麻疹と風疹に関しては、子どものころから合わせて合計2回の接種が完了されていれば、十分であると考えます。現在は、麻疹と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)が使用されています。


【不活化ワクチン】
 A型肝炎、B型肝炎、破傷風、日本脳炎、狂犬病は受けておかれた方が良いと思います。

 インフルエンザは、インドでの流行状況に合わせての接種が良いと思いますが、こちらではインドの行かれる地域で、どのような流行状況かを把握できませんので、事前の情報があれば、それに従って、接種医の先生と相談のうえ、決められると良いと思います。

 不活化ワクチンは、間隔をあけて複数回の接種が必要ですので、これまで過去に接種したワクチンの履歴を合わせて、回数を考える必要があります。

 接種するワクチンの種類、回数、スケジュールを接種医となる医師と十分に相談のうえ、余裕を持って、接種を完了するようにしてください。


【予防接種を受けられる場所】
 予防接種外来を実施している医療機関であれば、黄熱ワクチン以外の大抵のワクチンは接種可能ですが、どこの医療機関が予防接種外来を行っているかの情報は把握しておりませんので、最寄りの医療機関、医師会、自治体、検疫所等にお問い合わせください。


【その他】
 
また、できれば渡航1か月前くらいまでに必要な予防接種が済んでいるとより良いと思います。

 感染症の中で、予防接種で予防できるものはほんのわずかですから、一般的な感染症予防(マスク・手袋の着用、手洗いの徹底、生水・氷は摂らない等)を徹底し、自分で予防できるものは十分に予防するようにして下さい。

 検疫所のHPには、インドでの感染症情報が詳しく掲載されていますので、是非、ご参照ください。http://www.forth.go.jp/

(2010/6/29 IDSC 更新)

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