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<速報> A群ロタウイルスによる胃腸炎集団事例発生状況―千葉県

(掲載日 2012/6/14)

 

千葉県内において、2012年1~5月末までの間にA群ロタウイルスが検出された集団事例について報告する。
 
検出方法は、EIA法で実施後、陽性検体の一部についてRNAを抽出、Gouveaらの方法に従ってRT-PCRを行い、ダイレクトシークエンスにより検出の確定ならびにG遺伝子型別を行った。
 
県内では、この5カ月の間に10例の集団事例が発生した。前年同時期は4例だったことから、倍以上の発生であった。
 
各事例の詳細はに示したとおりである。A群ロタウイルスの流行の好発年齢は、0~2歳であるが、今回発生した事例は、幼稚園・保育園が4例、小学校が2例、中学校、飲食店、老人施設、社員寮が各1例ずつであった。このうち、飲食店で発生した事例は、食中毒として行政処分されている。
 
いずれの事例も、ヒト-ヒト感染が感染拡大の原因とされている。食中毒の事例も、複数の調理従事者からウイルスが検出されていること、発症した客と同じメニューを食べてないことなどから、原材料そのものの汚染ではなく、調理従事者を介して汚染された食材等により感染が拡大したと判断された。
 
検出されたG型は、2~4月まではG2が優勢であったが、G1の検出もみられた。また、4月以降はG1の検出が優位となり、5月末の事例はG1とG3の混合事例であった。A群ロタウイルスの検出は県内全域でみられ、G型別の検出状況も地域による偏りはなかった。
 
千葉県の感染性胃腸炎の流行は、2012年に入ってから例年より少ない傾向にあったが、4月以降、過去10年に比較して最も多い状況で推移している。原因ウイルスとして、ノロウイルスはもちろんだが、サポウイルス、そしてA群ロタウイルスが例年より高い割合で検出されている。
 
A群ロタウイルスの検出が例年より多い理由や、G型の検出状況が大きく変動した理由は不明である。ロタウイルスワクチン導入による影響や、近隣都道府県の流行なども踏まえ、さらなるサーベイランスの充実を図っていきたい。

千葉県衛生研究所  堀田千恵美 小倉 惇 仁和岳史 小川知子 篠崎邦子 江口弘久
 
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