国立感染症研究所

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ロタウイルス 2004年9月~2019年8月

(IASR Vol. 40 p201-203:2019年12月号)  (2020年2月25日黄色部分改訂)

ロタウイルスはレオウイルス科(Reoviridae)に属するロタウイルス属(genus Rotavirus)に分類される11分節の2本鎖RNAウイルスである。エンベロープを有さず, AからI群までの9つの種(Species)に分かれる。ヒトへの感染が報告されているロタウイルスは, 主にAとC群であり, ヒトの間で流行を起こすのは大部分がA群である。ロタウイルスは乳幼児におけるウイルス性急性胃腸炎の主要な原因であり, ほとんどのヒトは5歳までに一度は感染すると考えられている。ロタウイルスは糞口感染により伝播し, 通常2~4日の潜伏期を経て, 下痢, 嘔吐, 発熱などの症状を引き起こす。特異的な治療法はなく, 点滴や経口補液などの対症療法を行う。通常1週間程度で回復するが, 他のウイルス性胃腸炎に比べると重度の脱水症状を呈することが多い。合併症の一つである胃腸炎関連けいれんは, 急性胃腸炎の発症から1~6日(平均2.3日)に生じ, 全身性のけいれんが群発する(本号9ページ)。他にも腎不全や肝機能障害などの合併症を認めることがあり, 脳炎・脳症もみられることがある。重症例は生後6か月~2歳児の初感染時に多い。合併症があるときには合併症に準じた治療を行う。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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