国立感染症研究所

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積極的症例探索への電子メッセージの活用:アイオワ州でのサイクロスポラ流行の探知-米国

(IASR Vol. 34 p. 273-274: 2013年9月号)

 

サイクロスポラはコクシジウム原虫の一つで長期にわたる水様性下痢をきたし、有効な治療法はトリメトプリム/スルファメトキサゾールに限られる。サイクロスポラの検査は米国のほとんどのラボでは行われておらず、通常の寄生虫検査にすら含まれていないため、診断のためには医師がサイクロスポラの検査を指定して要求する必要がある。

2013年6月28日にアイオワ州保健当局は2例のサイクロスポラ症について電子メールによる週報(EPI Update)に通常通り配信した。主な受信者は医療・公衆衛生関係者だがメディア関係者も購読していた。7月3日には追加で4例の報告が届け出られ、流行の可能性が示唆された(2013年より前にはアイオワ州では10例の報告があるのみ)。これに応じて州当局は、同疾患の流行の可能性と診断・治療方法について特別にEPI Update Alertを出すとともに、医療機関や救急部、公衆衛生従事者等へHealth Alert Networkに警告を出した。7月4日に米国CDCが警告を出した際にはアイオワの主要なメディアがこれを報道した。7月8日には電子メールのプレスリリースが州当局から400のメディア関係者に送られ、14のツイッターメッセージが5,282のフォロワーに伝えられた。7月9日にはメディアの求めに応じて州当局のウェブサイトに症例数などを含む毎日の更新が掲載され、その後数週間は医療関係者がサイクロスポラ症に注意を払うようになった結果、多くの住民が検査を受け、サイクロスポラ症と診断された。7月26日までに報告された135症例のほとんどは州の衛生研究所で診断された。このラボの技師が最初の2例も診断したのだが、その時は新鮮便の顕微鏡検査でサイクロスポラのオーシストを見つけ、抗酸染色の変法を用いて確定診断した。同研究所はサイクロスポラの警告が出される前の6月には271の便虫検査があったのみであったが、7月には一般的な便虫検査が762に跳ね上がったうえ、サイクロスポラ特異検査は1,460件にも上った。流行のごく初期に電子媒体を使ってマスコミの関心を高めたことにより、稀な疾患の検査を行う貴重な機会が得られ、患者の適切な治療に貢献したばかりでなく、症例が集積したことで統計的な解析や感染源の追跡も可能となった。

 

(CDC, MMWR, 62, No.30, 613-614, 2013) 

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