国立感染症研究所

呼吸器感染症

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COVID-19流行下の小児基幹病院における当院に入院した重症ヒトメタニューモウイルス感染症の状況

(IASR Vol. 43 p188-189: 2022年8月号)

 

 ヒトメタニューモウイルス(human metapneumovirus:hMPV)感染症(hMPV感染症)は, hMPVを原因病原体とする, 乳幼児に多い急性呼吸器ウイルス感染症である。hMPVは2001年にvan den Hoogenらにより小児の気道分泌物から分離された。このウイルスは免疫健常児, 免疫不全児のどちらにおいても, 呼吸器感染症の主要な原因となる1)。小児における感染症法上の届出対象疾患であるRSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)感染症とともに, 高齢者等の成人での発生もあることが知られているが2), hMPV感染症は届出対象ではなく, 流行の把握は困難である。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミック発生以降, 国内では種々の呼吸器ウイルス感染症の流行が抑制されてきた。自主的に報告される全国の病原体サーベイランス等でのhMPVの分離・検出報告数は, 2021年には10例にとどまり, 2022年は6月19日現在, 1例も報告されていない3)

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