印刷

風疹流行および先天性風疹症候群の発生に関するリスクアセスメント第二版(2013年9月30日)

 

平成25年9月30日

国立感染症研究所

 

背景

 

風疹は発熱、発疹、リンパ節腫脹を3主徴とするが、比較的軽症に経過し正しく診断されないことも多い一方で、高熱が続き、合併症等を理由に入院を必要とする場合もある。風疹に感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、白内障、先天性心疾患、難聴等を特徴とする先天性風疹症候群(CRS: congenital rubella syndrome)の児が生まれる可能性がある。風疹、CRSに対しては共に特異的な治療法はないが、感染・発症前のワクチン接種は有効な予防手段であり、風疹含有ワクチンの最大の目的の一つがCRS予防である。

2013年9月24日現在、週あたりの報告数は昨年以下に減少しており、2008年以降最大の風疹流行が落ち着いてきている。しかし、この数年の流行は、妊娠子育て世代の成人に患者が多いという特徴があり今後のCRSの発生増加が懸念される。[参照:Tanaka-Taya K, et al.Nationwide Rubella Epidemic-Japan. 2013. MMWR 62(23): 457-462,2013]

 

風疹の疫学的所見

先天性風疹症候群(CRS)

 

風疹に対する免疫(予防接種・抗体保有率)

地域別の比較は、感染症流行予測調査事業による抗体検査が全自治体で実施されていないことから、実施14自治体の結果であるが、20~40代の地域別の抗体保有率(HI抗体価1:8以上)は、女性では調査した14自治体のほとんどで90%以上(92~100%)であったが、1自治体のみ82%であった。一方、男性では90%以上(94~99%)を示したのは2自治体のみであり、80%台(80~86%)が9自治体、70%台(77~79%)が3自治体であった。患者報告数が多い自治体と抗体保有率が低い自治体に明らかな相関はみられなかった。抗体保有率の低い自治体では今後の感染拡大が懸念される。

 

風疹含有ワクチンの副反応

アナフィラキシー、脳炎・脳症、血小板減少性紫斑病、年長者では血管迷走神経反射による失神等が知られている。

 

2012年からの流行に対する対応

 

<リスクアセスメント>

 

参考資料 風疹含有ワクチン1回接種者における年齢/年齢群別風疹抗体保有状況、2012年(暫定値)~2012年度感染症流行予測調査より~ 

※ 2012年度感染症流行予測調査事業風疹感受性調査実施都道府県:宮城県、山形県、栃木県、群馬県、千葉県、東京都、新潟県、長野県、愛知県、三重県、京都府、山口県、高知県、福岡県

【抗体価測定:赤血球凝集抑制法(HI法)/n=1,447】

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan