国立感染症研究所

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風疹と先天性風しん症候群の排除、2000~2012年

(IASR Vol. 35 p. 52: 2014年2月号)

 

2012年12月までに、WHO加盟194カ国のうち計132カ国(68%)が風疹含有ワクチン(RCV)を導入した。RCVを定期予防接種スケジュールに取り入れている国が全世界人口に占める割合は、2000年の31%から2012年には59%に増加し、RCVを接種した乳幼児の割合は、2000年の22%から2012年の43%へ増加した。RCVを導入した132カ国のうち、124カ国(94%)が初回RCV接種を初回麻しん含有ワクチンと同時に接種しており、8カ国(6%)が2回目の麻疹含有ワクチンと同時に接種している。RCVは11%の国で麻疹ワクチンと合わせて接種されており、89%の国では麻疹と流行性耳下腺炎(水痘ワクチンも含む場合有り)と合わせて接種されている。

2012年には、ヨーロッパ地域(EUR)(30,536例)と西太平洋地域(WPR)(44,275例)で他地域(19,219例)より多くの症例が報告された。この年には2,000例を超える風疹アウトブレイクがルーマニア、日本、ポーランドで報告された。これらの国では、確立した風疹対策プログラムがあったが、プログラム開始初期のRCV導入を女性への接種に焦点を絞っていた。アメリカ地域(AMR)では、2009年に最後の土着株症例と先天性風疹症候群(CRS)が報告され、現在風疹とCRSの排除を維持している。EURでは、2012年には風疹症例数が30,536となり、2000年の621,039から95%減少したが、2011年と比べると増加した。

EURとWPRでの風疹流行から、対策が進んでいる地域でも大規模な流行の危険があることを示している。女性と子供を対象にしたワクチン接種政策を開始すると、風疹の流行を抑えるものの、男性という感受性を持つ大きな集団が取り残されてしまう。この結果、男性での流行の危険性が高くなり、ワクチン未接種妊婦への感染の危険性が高まってしまう。2012年の麻疹含有ワクチンの接種率とRCV接種率との差(83% vs 43%)は麻疹と風疹対策の統合が進んでいないことを示している。風疹対策は次の段階に入ってきており、各国は風疹予防接種対策の導入と強化、風疹とCRS症例のサーベイランス強化に努めるべきである。

 

(CDC, MMWR 62(48): 983-986, 2013) 

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