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富山県で確認されたイヌの重症熱性血小板減少症候群の同時複数発生例

(IASR Vol. 43 p218-219: 2022年9月号)

 
はじめに

 重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)は, SFTSウイルス(SFTSV)を原因とするマダニ媒介性感染症で, 国内では年間50-100名程度の患者が発生している。SFTSは, 国内におけるヒトの致命率が27%と非常に高いことから1), その流行地域において公衆衛生上, 重要な疾患となっている。近年, SFTSVのヒトへの感染様式として, マダニからの刺咬だけでなく, SFTSを発症したイヌやネコの体液からの接触感染が報告されている1)。富山県においては, これまでに猟犬がSFTSV抗体を保有していたことが報告されているが2), ヒトおよび動物のSFTS症例は報告されていなかった。今回, 2022年5月に県内で飼育されている同居のイヌ4頭のうち2頭が同時期にSFTSを疑う症状を呈したため検査したところ, SFTSV感染が初めて確認されたので報告する。

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