国内外におけるダニ媒介脳炎の発生状況について
2024年8月30日
国立感染症研究所
ウイルス第一部
獣医科学部
昆虫医科学部
感染症疫学センター
実地疫学研究センター
感染症危機管理研究センター
目次
- 概要
- ウイルス学的知見
- ダニ媒介脳炎の検査診断
- 国外におけるダニ媒介脳炎の発生状況について
1) ヒトにおける発生状況及びウイルス保有マダニの報告状況
2) 動物における発生状況 - 国内におけるダニ媒介脳炎の発生状況について
1) ヒトにおける発生状況
2) 動物における発生状況
3) ウイルス保有マダニの分布状況 - 国内における対策
1) マダニ対策
2) ダニ媒介脳炎ワクチン - リスク評価と推奨
概要
ダニ媒介脳炎(Tick-Borne Encephalitis:TBE)は、フラビウイルス科フラビウイルス属のダニ媒介脳炎ウイルス(TBEV)によって引き起こされる中枢神経感染症である。TBEVは主に極東亜型、シベリア亜型、ヨーロッパ亜型の3つの遺伝子型に分類され、シベリアからロシア極東部、新疆ウイグル自治区、モンゴル、中国東北部から日本にかけてはロシア春夏脳炎を引き起こす極東亜型のウイルスが分布している。一方で、欧州では中央ヨーロッパダニ媒介脳炎を媒介するヨーロッパ亜型が、ロシア全域ではシベリア亜型が循環している。
日本では、1993年に初めての症例が報告されて以降、北海道で感染した症例のみが報告されている。しかしながら、2023年に北海道への旅行歴がなく本州で感染した可能性のある抗TBEV抗体陽性例が報告されたほか、本州の動物でも抗TBEV抗体の保有が報告されていることから、本州での感染リスクも示唆されている。
TBEVに感染した場合、70%~98%は不顕性感染となると報告されている。感染後2~28日(多くは7~14日)の潜伏期間ののち、ヨーロッパ亜型の感染では、発熱、頭痛、眼窩痛、全身の関節痛や筋肉痛などの症状が出現する。髄膜脳炎を呈した場合、痙攣、眩暈、知覚異常などが出現することもある。発熱はときに二峰性を示す。致命率は1~2%と報告され、生存者の10~20%に神経学的後遺症がみられる。シベリア亜型の感染は軽微な症状で緩徐に進行するとされ、致命率は6~8%と報告されている。北海道にも分布する極東亜型に感染した場合、突然の発熱、高度の頭痛、悪心、羞明などの症状が出現する。髄膜脳炎を呈した場合、項部硬直、痙攣、精神症状、頚部や上肢の弛緩性麻痺などが認められ、致命率は20%以上と報告されている。抗ウイルス薬などの特異的治療法はなく、対症療法が行われる(Bogovic P., 2015、高島, 2013)。
また、ヨーロッパ亜型で生存者の10~20%、極東亜型で生存者の30~40%に神経学的後遺症がみられると報告されているほか、その定義や他の後遺症との区別などが明確ではないものの、認知障害、精神症状などが長期に残存する脳炎後症候群(Post-encephalitis syndrome)が生存者の40~50%に見られるとの報告もある (Bogovic P., 2015)。
検査診断は、血液または髄液からのTBEVの検出もしくはその遺伝子の検出、TBEV特異的抗体の検出、血液からのペア血清での抗体陽転もしくはIgM抗体価の有意な上昇をもってなされる。感染症法上の4類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る必要がある。4類感染症に指定された2007年以降、国内では2024年7月16日時点で6例の報告があり、いずれも北海道からの報告であるが、本州において感染した可能性のある抗TBEV抗体陽性例もヒト、動物において報告されている。
ダニ媒介脳炎の予防には他のマダニ媒介感染症と同様、マダニの活動が活発になる時期に野山での活動を行う場合にマダニ対策を実施することが推奨される。加えて、2024年3月、国内でもダニ媒介脳炎ワクチンが承認されたことから、個人の感染リスクに応じて接種を検討する。
ウイルス学的知見
ダニ媒介脳炎ウイルス(TBEV)はフラビウイルス科フラビウイルス属に分類される一本鎖の(+)RNAウイルスであり、エンベロープを有する直径40-50nmの球状ウイルスである(Bogovic P., 2015)。
TBEVのウイルスRNAには5’非コード領域に続いてC蛋白質、prM蛋白質、E蛋白質の3種類の構造蛋白質が、さらにNS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B、NS5の7種類の非構造蛋白質と3’非コード領域がコードされている。ウイルスRNAはコア蛋白質により構成される直径25-35nmのコア粒子内に存在し、さらにコア粒子は約8kDaの膜蛋白質(M蛋白質)と約53kDaの糖蛋白質(E蛋白質)の2種類の蛋白質から構成されるエンベロープによって被われている。特にE蛋白質は宿主親和性、細胞吸着等に関っており、TBEVに対する防御免疫を誘導する主体となる蛋白質である。
ダニ媒介脳炎の病態については不明な点が多い。TBEVがダニによって宿主に感染すると皮膚のランゲルハンス細胞で増殖し、リンパ節に運ばれると考えられている。さらに脾臓、肝臓、骨髄に拡大し、ウイルス血症を呈したのちウイルスが中枢神経系に侵入し,神経細胞に感染する。ただし、TBEVが血液脳関門を通過するメカニズムは現時点では不明である。
ダニ媒介脳炎の検査診断
ダニ媒介脳炎の確定診断は、ダニ媒介脳炎の臨床学的特徴が認められた症例において、実験室診断による陽性所見により行われる。実験室診断ではRT-PCR法によるダニ媒介脳炎ウイルス遺伝子の検出、培養細胞を用いたウイルス分離を行う。加えて、血清診断としてIgMの検出、急性期と回復期のペア血清を用いた特異的中和抗体価の上昇によっても診断が可能である。ウイルス遺伝子の検出にはRT-PCR法、リアルタイムRT-PCR法等が開発されており、国内外において実用化されている。ウイルス遺伝子の検査材料としてはこれまでに血清が用いられてきたが、近年尿からのウイルス遺伝子の検出も報告されており検体として考慮すべきである(Bogovic P., 2015、高島, 2013、Veje M., 2018、Ruzela D., 2019)。
欧州のダニ媒介脳炎流行地域では次の基準を用いてダニ媒介脳炎の実験室診断が行われている。
1)患者血清中に抗TBEV特異的IgM抗体及び特異的IgG抗体が共に検出されること
2)患者髄液中に抗TBEV特定的IgM抗体が検出されること
3)急性期(発病後5日以内)及びペア血清(発病後7日以上)において、抗TBEV特異的IgG(中和)抗体価の陽転あるいは4倍以上の有意な抗体価の上昇が確認されること
4)患者検体からTBEVのウイルスゲノムが検出されること
ダニ媒介脳炎の重要な鑑別疾患は臨床症状、流行地域が重複する日本脳炎あるいはウエストナイル熱であるが、日本は日本脳炎の流行地域であり、特に重要である。また、これまでにネギシウイルス(跳躍病ウイルス)等のダニ媒介性フラビウイルスが本州において検出されているため、血清診断を実施する場合、これらウイルスとの鑑別が重要である。
日本国内においては、いずれの亜型のウイルスの取り扱いもBSL-3に指定されている(国立感染症研究所. 2024)。
国外におけるダニ媒介脳炎の発生状況
1) ヒトにおける発生状況及びウイルス保有マダニの報告状況
ダニ媒介脳炎は欧州から極東の亜寒帯域を中心に広く流行している。前述の通り、TBEVはヨーロッパ亜型、シベリア亜型、極東亜型の3亜型に分類され、それぞれが欧州諸国、ロシア、中国北東部から日本を中心に循環している。
1931年にオーストリアから報告された症例が最も古く、1938年にはロシアから極東亜型に関する報告がある(Schneider H,, 1931、Pamov AG., 1938)。以降欧州においてヨーロッパ亜型による中央ヨーロッパダニ媒介脳炎が報告されており、2024年時点で英国及びフランスが、ヒト症例が報告された地域の最西端であるが、特にオーストリア、スイス以東の東欧諸国、北欧諸国からの報告が多い(CDC, 2024)。
極東亜型によるロシア春夏脳炎は、中国、韓国、ロシア、日本で報告されており、中国からの報告は黒竜江省、吉林省、遼寧省といった北東部に多い(Sun R., 2017)。一方で韓国ではヨーロッパ亜型のTBEVがフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)などから検出されている(Yun S. et al., 2012)。
欧州、アジア以外の地域では、チュニジアでマダニ(Ixodes ricinus)からTBEVが検出された報告がある(Fares W., 2021)。
ただし、ダニ媒介脳炎の体系的なサーベイランス体制は確立しておらず、欧州においても、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が症例定義を公開しているものの、欧州各国における報告対象が異なっているのが現状である。また、ダニ媒介脳炎が確認されている地域やその周辺において同じフラビウイルス属である日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、ウスツウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ネギシウイルスなどが循環していることから、抗体検査による診断結果については交差反応性を考慮する必要がある。実際、ダニ媒介脳炎のヒト症例が報告されている地域から離れた東南アジアなどでもTBEV抗体陽性の報告があるが、他のアルボウイルスとの交差反応の可能性が高いと考えられている(Van Cuong N., 2015、Mohd Shukri M., 2015)。
2024年1月時点で、米国疾病予防管理センター(CDC)は症例の報告、ダニでのウイルスの検出、血清疫学調査の結果などから37ヵ国でダニ媒介脳炎に感染するリスクがあるとしているが、国の中でも地域や年によって発生状況が大きく異なるため、各国の感染リスクを比較することは困難である (CDC, 2024、Erber W., 2024)(表1.、図1.)。
表1. CDCによるダニ媒介脳炎の感染リスクがある国、及び各国におけるヒトにおけるダニ媒介脳炎症例の年次報告数の推移(2019年~2023年)
※ - : 参照可能なデータなし)
図1. CDCによるダニ媒介脳炎の地理的分布(2024年1月20日時点)(出展:CDC)
2) 動物における発生状況
動物におけるダニ媒介脳炎の報告は、イヌとウマで特に多く報告されており、ヒトと同様に中枢神経症状を呈することが知られている。イヌの抗体保有調査は欧州の複数の国で実施されており、陽性率はドイツで1.1~22.1%、チェコで13.1%、フィンランドで6~40%などと報告されているが(Levanov L., 2016、Girl P.,2021、Salat J., 2021、Topp AK., 2023)、国によってその調査対象、症例定義、検査方法などが異なることから単純な比較は困難である。
感染源はヒトと同様にダニの刺咬によるが、ヤギの乳を摂取したことによる感染が示唆される報告もある(Klimeš J., 2001)。イヌが感染した場合も不顕性感染が多いとされる。
一方で、ウマにおけるTBEVの抗体保有調査結果でも抗体保有率はドイツで0.8~23.4%、オーストリアで13%、26.1%と報告されているが、イヌに比べると報告は少ない(Janitza-Futterer D., 2003、Müller K., 2006、Klaus C., 2013)。また、リトアニアでの調査では調査対象のうち3.9%のウマでウイルス血症がみられた一方で、臨床症状を示すウマはいなかったことから(Pautienius A., 2021)、不顕性感染の存在が示唆される。
また、ウシ、ヤギ、ヒツジといった反芻動物でも、スイス、イタリア、ドイツなどで血清抗体価が陽性となった報告があり、TBEVに感染することが知られているが、これらの動物は臨床症状を示さないと報告されている(Gresiková M., 1958、Nosek J., 1967)。反芻動物ではウイルスは乳汁中に排泄され、東欧では生乳や未殺菌の乳製品からのヒト感染事例が報告されている(Dorko E. et al., 2018、Dobler G. et al., 2012)。
その他、シカ、イノシシ、バイソン、ハタネズミ、バーバリーマカクなどで抗体やウイルスRNA検出が報告されているほか(Jahfari S., 2017、Tonteri E., 2016、Balling A., 2014、Krzysiak MK., 2021、Micjelitsch A., 2019、Süss J., 2007)、鳥類でも抗体陽性の報告があり、自然界におけるウイルスの宿主となっている可能性が示唆されている(Mikryukova TP., 2014)。
ただし、いずれの動物でも、抗体保有調査においては他のフラビウイルス感染との交差反応の可能性があることに留意すべきである。
国内におけるダニ媒介脳炎の発生状況
1) ヒトにおける発生状況
日本における初めてのダニ媒介脳炎の報告は1993年に北海道から報告された重症脳炎の1例である。ペア血清により極東亜型のTBEVに対する抗体価の上昇がみられたことにより診断されている(Takashima I., 1997)。ただし、本症例はダニ媒介脳炎が感染症法における届出対象疾患となる前に診断されていることから、感染症発生動向調査に基づく報告には含まれていない。
ダニ媒介脳炎は2007年4月1日に感染症法上の4類感染症(全数把握対象疾患)に定められ、患者もしくは無症状病原体保有者を診断した医師、感染死亡者及び感染死亡疑い者の死体を検案した医師は、ただちに最寄りの保健所への届出を行わなければならない(厚生労働省, 2024)。
2007年4月1日から2024年7月16日(7月16日時点暫定値)までに感染症発生動向調査で届け出られた患者報告数は6例であった。このうち、報告時点での死亡例は2例(33%)であったが、届出後に死亡した症例が含まれていない可能性があることに留意が必要である。
届出は5~8月に多く、全例が北海道からの報告で、推定感染地域も全例北海道だった。患者の性別は、男性が5例(83.3%)と多く、年齢は40代2例、50代1例、70代3例であった(年齢中央値65歳)。症状は、意識障害・脳炎が全例で確認されており、次いで発熱・髄膜炎が5例(83.3%)と多かった。感染原因は、マダニ刺咬が5例(83.3%)であった(図2、表2.)。
また、7月16日時点で感染症発生動向調査における届出はないが、過去の原因不明の中枢神経系疾患患者の血液を調査した報告によれば、2018年に東京都及び岡山県で、2019年に大分県で、北海道外で感染した可能性があるTBEV抗体陽性例が報告されている(Ohira M. 2023)。
図2. 感染症発生動向調査に届け出られたダニ媒介脳炎症例の発病年月(n=6, 2024年7月16日現在)
※届出開始日(2007年4月1日)以前に発病した1例を除く
表2. 感染症発生動向調査に届け出られたダニ媒介脳炎症例の基本情報(2024年7月16日現在)
※届出開始日(2007年4月1日)以前に発病した1例を除く。
※死亡数は感染症発生動向調査への届出時までに死亡し、死亡例として届出された症例の集計であり、届出後に死亡した症例数は含まれていない。
正確な死亡数及び届出症例における致命率はより高い可能性がある。また自治体による公表情報とは異なる場合がある。
2) 動物における発生状況
ダニ媒介脳炎の流行地では多くの哺乳類がマダニを介して感染しており、日本国内においては主にげっ歯類(アカネズミ、エゾヤチネズミなど)が重要なウイルス保有動物と考えられている。北海道においてはげっ歯類のほか、イヌ、シカ、ウマなどで抗TBEV抗体の保有が確認されている(Takeda T., 1999、Uchida L., 2018)ほか、動物におけるTBEVの感染が確認されている(Yoshii K., 2013)。
多北海道以外の地域においても、動物における抗TBEV抗体の保有が確認されているほか(Yoshii K., 2011)、類縁のウイルスの抗体保有も確認されており、これらのウイルスが日本国内に広く分布していることが示唆されている(Shimoda H., 2019)。
3) ウイルス保有マダニの分布状況
TBEVはユーラシア大陸の広範囲に分布しているため、地域ごとに様々なマダニ種がTBEVの媒介に関与している可能性があるが、自然界では主としてマダニ属(Ixodes sp.)に属するマダニがTBEV伝播の直接的な役割を担っているものと考えられている。
日本国内では、これまでに北海道で採取されたヤマトマダニ(I. ovatus:国内では屋久島以北の全国に分布)からウイルスが分離されており、本種が主要媒介種であると考えられている。一方、ロシアや中国などにおいてはシュルツェマダニ(I. persulcatus:北海道(平地~山地)から西日本の山地(南方へ行くほど山地のみの分布となり、個体数も減少))が主要な媒介種とされており、日本国内にも分布する本種も伝播に関与している可能性がある。
その他、海外ではチマダニ属(Haemaphysalis sp.)の複数種において、TBEVの分離例やウイルス媒介能が実験的に証明されており、これらのマダニ種が国内においてもTBEV伝播に関与する可能性がある(このうち日本にも分布する種としては、イスカチマダニ(H. concinna:東北と北海道を中心とする北方系のマダニで、他の地域では富山県や佐賀県などから散発的な記録のみ)、ヤマトチマダニ(H. japonica:北海道から中部地方)、フタトゲチマダニ(H. longicornis:北海道から沖縄県与那国島まで全国的に分布)が含まれる
国内における対策
1) マダニ対策
ダニ媒介脳炎のヒトへの主な感染経路はTBEVを保有するマダニによる吸血であり、感染しないためには他のマダニ媒介感染症と同様、マダニ刺咬を避けることが重要である。
日本国内における明らかなダニ媒介脳炎の発生地域は北海道であるが、本州においてもダニ媒介脳炎に限らず重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱など、北海道においてもライム病、Borrelia miyamotoiによる新興回帰熱といったマダニ媒介感染症が報告されている。そのため、特にマダニの活動が盛んでマダニに刺される危険性が高まる春から秋にかけては、全国的に草むらや藪などマダニが多く生息するような場所に入る際には対策を講じる必要がある。長袖・長ズボンを着用する、シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する、サンダル等は避け足を完全に覆う靴を履く、帽子や手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが重要である。加えて、服の色はマダニの付着を目視で確認しやすい明るい色が推奨される。屋外活動後は入浴し、マダニに刺されたかどうかを確認することが重要である。特に、首、耳、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏などを注意して確認することが推奨される。
また、医薬品・医薬部外品として販売されているDEET(ディート)やイカリジンを主成分とする忌避剤もマダニ対策として有用であり、「効能及び効果」に「マダニの忌避」と書かれているものを、用法用量を守った上で使用することが重要である。忌避剤の効力持続時間は濃度に比例する。その他、マダニ対策に関しては、国立感染症研究所昆虫医科学部で作成した啓発資料「マダニ対策、今できること」(国立感染症研究所, 2019)を参照のこと。
マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血するが、刺されたことに気がつかない場合もある。吸血中のマダニに気が付いた際、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿する、マダニの体液を逆流させて病原体が体内に入りやすくなる、といった恐れがあるため、医療機関(皮膚科など)で処置(マダニの除去、消毒など)をしてもらうことが推奨される。また、マダニに刺された後は、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱等の症状がある場合はすみやかに医療機関で診察を受け、その際、マダニに刺されたことを医師に説明することが推奨される。
2) ダニ媒介脳炎ワクチン
ダニ媒介脳炎に対する不活化ワクチンが2024年3月に日本で承認された。本ワクチンは欧州において広く承認されているワクチンであり、添付文書に沿った3回の基礎接種後の抗体陽転率は16歳~65歳の成人で99.5%~100%の範囲、1歳から15歳までの小児においてほぼ100%であったと報告されている(Loew-Baselli A., 2011、Pöllabauer E M.、2010)。
有効性に関する調査では、2回、3回、4回接種後、推奨される次回追加接種までの期間におけるダニ媒介脳炎の発症に対するワクチン効果は、ドイツで97.2%、95.0%、95.4%、ラトビアで98.1%、99.4%、98.8%であったと報告されている(Erber W., 2022)。また、ダニ媒介脳炎ワクチンが定期接種化されているオーストリアでは、2000年から2011年までの間に4,000例のダニ媒介脳炎症例を予防したと推定されている(Heinz FX. 2013)。
さらに、安全性においても、接種後に重篤な有害事象がみられなかったとする報告がある(Demicheli V., 2009)。
国内で承認されているダニ媒介脳炎ワクチンはヨーロッパ亜型をベースに作成されているが、国内で循環している極東亜型に対しての中和抗体価も差がなかったと報告されている(Domnich A., 2014)。
国内における報告数は少ないものの、感染リスクのある地域での居住や旅行、ダニの活動が活発な時期の野外活動など、個々の感染リスクに応じて接種を検討する。接種に際しては医療機関へ相談すべきである。
リスク評価と推奨
- ダニ媒介脳炎は、欧州から極東アジアにかけて広くみられるマダニ媒介感染症である。日本では2016年以降、報告は北海道からのみであったが、2023年に後方視的な調査により道外での感染があった可能性が報告された。また、動物での調査においても本州で動物がTBEVに感染した可能性が報告されており、本州以南でもダニ媒介脳炎に感染する可能性があることを示唆している。
ただし、国内における症例数が少なく、また動物やマダニの調査も限定的であることから、国内での感染リスクを把握するために、今後もサーベイランスによる監視の継続、さらなる知見の積み重ねが求められる。 - ダニ媒介脳炎の診断はTBEV遺伝子の検出もしくは抗体検査によってなされるが、特に抗体検査においては、同じフラビウイルス属のウイルスとの交差反応に注意が必要である。ダニ媒介脳炎の流行地には地域によって異なる多種のフラビウイルスが循環しており、国内においては特に日本脳炎ウイルスとの交差反応を考慮することが重要である。
- ヒト-ヒト感染、感染動物との直接的な接触による感染は報告されていないが、動物からヒトへの感染リスクを評価するにはさらなる動物の感染状況に関する調査が必要である。感染した反芻動物の乳汁中にウイルスが排泄され、ヤギの乳からヒトへの感染報告があることから、反芻動物の生乳、殺菌されていない乳製品の摂取を避ける必要がある。
- 特に北海道においてマダニが生息するような地域に入る場合にはダニ媒介脳炎の感染リスクがある一方で、そのような行動がない人々における感染リスクは低い。
ライム病、日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)等と同様、マダニ媒介感染症であることから、マダニ刺咬を避けることが感染予防のために重要である。また、国内外における感染リスクに応じたワクチン接種が感染リスク軽減に有用であり、行動範囲や野外での活動による感染リスクに応じて接種を検討する。
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