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東京都内で分離されたA群溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)のT型別、2005~2014年

(IASR Vol. 36 p. 151: 2015年8月号)

東京都では感染症発生動向調査事業として、都内の定点医療機関における溶血性レンサ球菌咽頭炎患者から分離したA群溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)の菌株を、積極的疫学調査として医療機関で劇症型溶血性レンサ球菌感染症患者から分離された菌株を確保し、型別試験等の調査を実施している。

2005~2014年に当センターに搬入された咽頭炎由来725株と劇症型患者由来79株のA群レンサ球菌について、A群溶血レンサ球菌T型別用免疫血清(デンカ生研)を用いT血清型別試験を実施した。

その結果、咽頭炎由来株は14種類に分類され、最も多かったT型は12型で156株(22%)であり、次いで1型136株(19%)、4型113株(16%)、28型69株(9.5%)の順であった。年次別にみると、調査した10年間のうち2005~2007年と2010~2012年の6年間は、この4種類のT型が主要な菌型であった。しかし、2008年と2009年は25型が最も多く、2013年および2014年はB3264型が4型に次いで2番目に多くみられた。

一方、劇症型由来株は13種類に分類され、最も多くみられたT型は1型30株(38%)と約4割を占め、次いでB3264型9株(11%)、12型7株(8.8%)等の順であった。咽頭炎由来株と劇症型由来株のT血清型を比較してみると、1型はどちらも多くみられるが、4型・12型・25型・28型は、劇症型では咽頭炎ほど多くみられなかった()。一方で、それまで劇症型ではほとんどみられなかったB3264型が、2013~2014年の劇症型および咽頭炎由来株で多くみられた。

このように咽頭炎の流行菌型と劇症型株の菌型は年ごとに傾向が認められるため、今後も継続して調査を実施していく必要があると思われる。

 

東京都健康安全研究センター微生物部
  奥野ルミ 久保田寛顕 内谷友美 新開敬行 貞升健志

 

 

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