国立感染症研究所

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急性弛緩性麻痺症例の臨床鑑別と症状

(IASR Vol. 41 p19-20: 2020年2月号)

急性弛緩性麻痺(acute flaccid paralysis: AFP)は急性に四肢の弛緩性運動麻痺を呈する疾患の総称である。AFPにはポリオや非ポリオエンテロウイルスによる脊髄炎, ギラン・バレー症候群やボツリヌス症など脊髄前角細胞または, その末梢側の障害をきたす様々な疾患が含まれるので鑑別が必要である(1)。急性弛緩性脊髄炎(acute flaccid myelitis: AFM)は2014年, エンテロウイルスD68流行期に多発した急性脊髄炎によるAFP症例を検知するために提唱された概念である。AFMは “脊髄前角細胞を病変の主座とする急性炎症性疾患” と想定され, 臨床症状(1肢以上の急性弛緩性脱力)と検査/画像所見(MRIで灰白質優位の1脊髄分節以上にわたる脊髄病変)の組み合わせで診断される疾患である2)

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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