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アジアを中心とする外国人の成人水痘症例の検討

(IASR Vol. 37 p. 164-165: 2016年8月号)

水痘はヘルペスウイルス科の水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染により発症する発熱と発疹を主症状とする疾患であり, 不顕性感染は極めて稀である1)。飛沫核・飛沫・接触感染し, その感染性は極めて高い。世界保健機関(WHO)は, 全世界で少なくとも年間1億4,000万人が水痘を発症し, 4,200人が死亡していると推定している2)。水痘はほとんどの場合自然治癒する疾患であるが, 成人では水痘の重症化リスクが小児より高いことが知られ, 肺炎や髄膜炎を合併することがある1)。水痘ワクチンはわが国で開発された弱毒生ワクチンであるが, 1回接種では水痘患者数の減少によるbooster効果の減弱から接種後罹患(break-through varicella)が問題となり, 多くの先進国では2回接種が推奨されている3)。国際化の進む中で, 流行が抑制されていない外国からの持ち込みによる水痘のアウトブレイク発生や外国人コミュニティにおけるその流行には注意が必要である。

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