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ポリオウイルス非感受性Vero/SLAM(VeroΔPVR1/2+hSLAM)細胞の作出について

(IASR Vol. 44 p143-145: 2023年9月号)
 
はじめに

臨床検体からの麻疹ウイルスの分離には, 麻疹ウイルス受容体であるヒトSLAMを発現させたVero/SLAM細胞が世界的に広く使用されている。一方, 世界保健機関(WHO)は世界ポリオ根絶計画(Global Polio Eradication Initiative)を推進するため, 「野生株ポリオウイルスの型特異的根絶および経口生ポリオワクチン使用の段階的停止後におけるポリオウイルス取り扱い施設関連リスクを最小化するためのWHO世界的行動計画(GAP Ⅲ)」を2014年に策定した1)。GAP Ⅲでは研究施設におけるポリオウイルス(PV)のバイオリスクマネージメントについて言及している。PVはVero/SLAM細胞にて増殖が可能であり意図せずPVを増殖させる可能性があるため, バイオリスクマネージメント上問題となりうる。そこで本稿では, 麻疹ウイルス分離に使用可能なポリオウイルス受容体(PVR)欠失細胞株VeroΔPVR1/2+hSLAMの作出背景詳細と, 細胞の性状について記述する。

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