国立感染症研究所

(掲載日2022年6月15日)
(一部改正2022年7月8日)
(一部改正2023年5月26日)
国立感染症研究所
国立国際医療研究センター国際感染症センター
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エムポックスは接触感染や飛沫感染を起こすが、日常生活の中で空気感染を起こすことは確認されていない。ただし、空気感染を起こすと考えられている麻しんや水痘との臨床的な鑑別が困難であるため、発熱と発疹がありそれらの感染症が否定できない間は、エムポックス疑いの患者には空気予防策の実施が求められる。

医療従事者がエムポックス確定患者に接する場合(検体採取時含む)は、患者を換気良好な部屋に収容し、N95マスク、手袋、ガウン、眼の防護具を着用する(患者のリネン類を扱う者や清掃担当者も同様)。

患者が使用したリネン類は、診断が確定するまでなるべく触れずに管理し、診断が確定してから適切な処理を行う。エムポックスが確定したら、リネン類は、前述の個人防護具を着用して自身の粘膜に触れないように運搬し、通常の洗剤を用い常温で洗濯を行う*。手指衛生を頻回に行い、特にリネン類を扱った後は必ず手指衛生(流水と石鹸による手洗い、又は擦式アルコール性手指消毒薬での消毒)を行う。

患者が滞在する、又は滞在した環境は通常に清掃を行い、その後消毒(エンベロープウイルスに対して強い消毒効果を発揮する薬剤(消毒用エタノール等))を行う。廃棄物は感染性廃棄物として扱う。

エムポックス疑い例やエムポックス患者は、可能な限り不織布マスクを着用し、水疱を含む皮膚病変はガーゼなどで被覆する。

エムポックス疑い例やエムポックス患者は、自宅等の滞在場所では、以下に留意する。

- 患者は同居人と肌や顔を接しないようにし、リネン類の共有を避ける。

- 患者が使用したリネン類は、病変や体液からの感染性粒子が飛散する可能性があるため、不用意に振り回したりせず、静かにビニール袋等に入れて運搬し、洗濯機に入れる。洗濯した後は再利用可能である。

- ベッド、トイレ、患者が接触した場所(家具や床など)は、使い捨て手袋を着用して清掃し、その後消毒薬で清拭する。清掃や消毒後は手指衛生を行う。

- 患者が使用した食器や調理器具は、石鹸や洗剤等で洗った後に再利用可能である。

- 常に十分な換気を行うよう配慮する。

* WHO、USCDC、UKHSAでは、温水による洗浄を推奨している。

全ての皮疹が痂皮となり、全ての痂皮が剥がれ落ちて無くなるまで(概ね21日間程度)は上記の感染対策を継続する。

 

2023年5月26日 改正政令により名称を サル痘 から エムポックス に変更

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