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Structural basis of hepatitis B virus receptor binding

Asami J#, Park JH#, Nomura Y#, Kobayashi C#, Mifune J, Ishimoto N, Uemura T, Liu K, Sato Y, Zhang Z, Muramatsu M, Wakita T, Drew D, Iwata S, Shimizu T, Watashi K*, Park SY*, Nomura N*, Ohto U*

Nature Structural & Molecular Biology (2024)
doi: https://doi.org/ 10.1038/s41594-023-01191-5

B型肝炎ウイルス(HBV)が肝臓にのみ感染するという特徴は、胆汁酸取り込み輸送体NTCP/SLC10A1を受容体に利用するためであるが、その高い親和性と特異性が何に起因するかは明らかでなかった。本研究ではHBV表面抗原の受容体結合領域preS1ペプチドとNTCPの結合立体構造をクライオ電子顕微鏡解析により解明した。preS1は外向き型9回膜貫通NTCPタンパク質とのみ複合体を形成していた。preS1は極めて複雑に折り畳まれてNTCPと結合し、そのN末端側の多重ループ構造で胆汁酸トンネル内部と、よりC末端領域でNTCPの細胞外表面と這うように接触していた。特にpreS1のN末端領域、NTCPの胆汁酸トンネルを構成する第8膜貫通ヘリックスが複合体形成に重要であることが示された。これまで長らく謎とされていたHBVと肝臓表面受容体が接触する瞬間の機能構造が初めて明らかとなり、これはHBVが感染宿主を選択する仕組みや細胞侵入機構の解明、新たな抗ウイルス薬の開発に有用な知見となる。

 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan