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トキソプラズマ等の寄生原虫が検出された鯨肉の喫食による都内有症事例

(IASR Vol. 43 p54-56: 2022年3月号)

 
はじめに

 トキソプラズマはネコ科の動物を終宿主とし, ヒトを含む哺乳類, 鳥類などの恒温動物だけでなく, クジラ目を含む海棲哺乳動物も中間宿主となる細胞内寄生原虫である。ヒトへの感染は, 主にネコの糞便中に排出されたオーシストの手指を介した経口感染と, トキソプラズマのシストが寄生した動物(中間宿主)の筋肉を生または調理不完全な状態で経口摂取した場合による。特に臨床上重要となるのは, 妊娠時の初感染での先天性トキソプラズマ症と, 免疫不全にともなう潜伏感染の再燃により発症するトキソプラズマ脳炎や播種性トキソプラズマ症である。

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