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検疫検体のSARS-CoV-2ゲノムサーベイランスの実際と役割

(IASR Vol. 44 p101-102: 2023年7月号)
 
はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は検疫法に基づく検疫感染症に2020年2月1日に追加された。以降, 検疫法に基づき検疫所で検体を採取しPCR検査や抗原定量検査を実施するとともに, 国立感染症研究所(感染研)においてゲノム解析(ウイルスの系統判定)を実施してきた。新たな系統, 重複感染疑い, 組換え体, 新たな公衆衛生上の脅威になりそうな変異を持ったウイルス, などが検出された場合は, 確認検査としてウイルス分離培養および分離ウイルス株のゲノム解析を感染研で実施してきた。本稿では, オミクロンが検疫で最初に確認された2021年11月末よりCOVID-19が検疫感染症から外れる前の2023年5月7日までに実施された検疫所で採取された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性検体(検疫検体)のウイルスゲノムサーベイランスの概要について報告する。

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