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ノロウイルスの流行と集団免疫

(IASR Vol. 38 p.10-11: 2017年1月号)

ノロウイルス(NoV)に対するヒトの防御免疫は, 持続期間や多様な遺伝子型に対する交差反応性など, 解明されていない点が多い。個体レベルで感染防御免疫を最も直接的に研究した例として, ボランティアに対するノロウイルス曝露実験がある。その結果, 免疫の持続期間は同一のウイルスに対して6カ月~2年程度と考えられている。一方で, 数理モデルに基づく計算ではそれよりも長い期間が推定されている1)。我々は地域の疫学研究を通じて集団免疫がノロウイルス流行にどのように関与するかについて, 新しい知見を得た2)。本稿では, NoVに対する集団免疫に関し, 我々の知見を中心に概説する。

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