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真菌および真菌症の検査法

(IASR Vol. 45 p23-24: 2024年2月号)
 

真菌症の確定診断は難しく, 臨床現場においては真菌症疑いにとどまってしまうことも少なくない。真菌症の診断基準の1つとして頻用される『改訂European Organization for Research and Treatment of Cancer and the Mycoses Study Group(EORTC/MSG)』criteriaでは, 確定診断に必要な検査項目として, 罹患臓器(臨床検体)から真菌が分離されること, および病理組織学的に特徴的な真菌の所見を確認すること, の2点がまず挙げられている1)。また, 真菌種によっては血清学的診断(クリプトコックス属のグルクロノキシロマンナン抗原検査: 後述)が確定診断の根拠として用いられることや, 病理組織学的に真菌が確認された場合に, パラフィンブロックから作製された切片の遺伝子検査を行うことで菌種同定・確定診断となることも併せて規定されている。これらの確定診断の根拠を基に考えると, 真菌症診断において重要な項目として, A)適切な検体を(罹患臓器から確実に), B)適切な時期に(可能な限り抗真菌薬投与前に), C)無菌的に(環境真菌の混入を最大限防ぐ形で)採取し検査に供すること, の3点が考えられる。真菌症診断に必要な検査のうち, 分離真菌の同定検査や血清学的診断の一部は検査会社などで対応可能なものもあるが, すべての検査にはまだ対応できていないのが現状である。

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