(2015年10月22日掲載) EV-D68はエンテロウイルス属のウイルスの一つである。エンテロウイルス属には、ポリオウイルスや、無菌性髄膜炎の原因となるエコーウイルスや手足口病の原因となりうるエンテロウイルス(EV)71型などが含まれる。エンテロウイルス属はさらに分子系統解析によりEnterovirus A~JおよびRhinovirus A〜C (species)に分類され、EV-D68はEnterovirus Dに属する...
続きを読む(掲載日 2015/11/12) (IASR Vol. 36 p. 250-252: 2015年12月号)
喘息発作は秋に好発し、原因は気圧の変化やウイルス感染の影響などが指摘されているが1)、国立病院機構三重病院では2015年の9月以降、喘息発作入院症例が例年よりも著しく増加した。東京都では、エンテロウイルスD68型(以下、EV-D68と略す)が検出された重症例を含む喘息様症状の症例報告がなされていることから2)、今シーズンの増加の一因として、EV-D68の関与の可能性について検討した。
(掲載日 2015/11/5) (IASR Vol. 36 p. 248-249: 2015年12月号)
当院では2015年9月に上気道炎症状に伴う喘息発作の患者が急増し、入院患者数は例年の6.5倍であった。図は2011~2014年に「喘息性気管支炎」、「気管支喘息発作」、「気管支喘息重積発作」のために入院した患者数の平均と2015年の上記疾患で入院した患者数を比較したものであり、2015年9月の入院患者数が著明に多いことが分かる。入院患者はいずれも気管支喘息中発作もしくは大発作であり、入院時に著明な陥没呼吸を認める場合や、プロカテロール吸入やメチルプレドニゾロン点滴投与を行っていても呼吸状態が増悪する場合にはイソプロテレノール持続吸入を行った。例年と比較して、入院患者全体の中でのイソプロテレノール持続吸入を要する症例の割合が優位に多かった(p<0.01)。
(掲載日 2015/11/5) (IASR Vol. 36 p. 247-248: 2015年12月号)
エンテロウイルスD68型(EV-D68)は、1962年に米国で呼吸器感染症の小児から初めて検出された1)。日本では、2010年に呼吸器感染症患者からEV-D68の急激な検出増加が認められ、検出ウイルス株の分子疫学解析が報告された(大阪市、山形県)2,3)。一方、喘息発作を誘発する可能性が山口県から、麻痺症例からの検出が広島県から報告されている4,5)。2015年9月には、国内でのEV-D68の再流行の兆しが報告された6,7)。
(掲載日 2015/10/15、2015年10月29日更新) (IASR Vol. 36 p. 226-227: 2015年11月号)
エンテロウイルスD68型(EV-D68)は、2014年秋に米国で呼吸器疾患1,153例(2014年8月中旬~2015年1月15日)のアウトブレイクへの関与で注目されているウイルスである1)。米国では同時期に急性弛緩性脊髄炎が120例(2014年8月~2015年7月)と多発し、その一部の呼吸器検体からEV-D68が検出され、関連が疑われている2)。2014年秋は欧州でも呼吸器検体からEV-D68を検出した急性弛緩性脊髄炎3例が報告された3)。