日本のHIV感染者・AIDS患者の状況
(平成24年10月1日~12月30日)
(Vol. 34 p. 75-77, 80: 2013年3月号)
平成25年2月22日
厚生労働省健康局疾病対策課
第132回エイズ動向委員会委員長コメント
《平成24年第4四半期》
【概要】
1.今回の報告期間は平成24年10月1日~平成24年12月30日までの約3か月
2.新規HIV感染者報告数は 257件(前回報告 273件、前年同時期 294件)。そのうち男性 246件、女性11件で、男性は前回( 259件)および前年同時期(274 件)より減少、女性は前回(14件)および前年同時期(20件)より減少
3.新規AIDS患者報告数は 114件(前回報告 111件、前年同時期 106件)。そのうち男性 107件、女性7件で、男性は前回( 104件)および前年同時期(94件)より増加、女性は前回(7件)と同数、前年同時期(12件)より減少
4.HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は 371件
【感染経路・年齢等の動向】
1.新規HIV感染者:
○同性間性的接触によるものが 184件(全HIV感染者報告数の約72%)
○異性間性的接触によるものが45件(全HIV感染者報告数の約18%)。そのうち男性35件、女性10件
○静注薬物によるものは1件
○年齢別では、20~30代が多い
2.新規AIDS患者:
○同性間性的接触によるものが62件(全AIDS患者報告数の約54%)
○異性間性的接触によるものが30件(全AIDS患者報告数の約26%)。そのうち男性24件、女性6件
○静注薬物によるものは0件
○年齢別では、40歳以上が約61%であった
【検査・相談件数の概況(平成24年10月~12月)】
1.保健所におけるHIV抗体検査件数(確定値)は26,597件(前回報告24,484件、前年同時期28,627件)、自治体が実施する保健所以外の検査件数(確定値)は 7,223件(前回報告 6,924件、前年同時期 8,256件)
2.保健所等における相談件数(確定値)は37,321件(前回報告37,029件、前年同時期44,239件)、保健所等におけるHIV抗体検査件数および相談件数は前回より増加した。
【献血の概況(平成24年1月~12月)】
1.献血件数(速報値)は、 5,271,103件(前年同時期速報値 5,252,182件)
2.そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数(速報値)は68件(前年同時期速報値89件)。10万件当たりの陽性件数(速報値)は、 1.290件(前年同時期速報値 1.695件)
《まとめ》
1.前回に比し、新規HIV感染者報告数は減少し、新規AIDS患者報告数はほぼ横ばいであった。
2.早期発見は個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつくので、HIV抗体検査・相談の機会を積極的に利用していただきたい。
《平成24年年間報告(速報値)》
【概要】
1.今回の報告期間は平成23年12月26日~平成24年12月30日までの約1年(四半期ごと速報値の合計)
2.新規HIV感染者報告数は 1,001件で過去6位
3.新規AIDS患者報告数は 445件で過去3位
4.HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は 1,446件で過去6位
※これまでの最高は、平成20年(確定値)でHIV感染者は、 1,126件、AIDS患者 431件、合計 1,557件。
【感染経路・年齢等の動向(速報値)】
1.新規HIV感染者:
○同性間性的接触によるものが 718件(全HIV感染者報告数の約72%)
○異性間性的接触によるものが 182件(全HIV感染者報告数の約18%)
○静注薬物によるものは5件(ほか、その他に計上されているものが11件)
○母子感染によるものは0件
○年齢別では、特に20~30代が多い
2.新規AIDS患者:
○同性間性的接触によるものが 239件(全AIDS患者報告数の約54%)
○異性間性的接触によるものが 110件(全AIDS患者報告数の約25%)
○静注薬物によるものは3件(ほか、その他に計上されているものが6件)
○母子感染によるものは0件
○年齢別では、特に30歳以上が多い。なお、60歳以上が約10%を占めている
【検査・相談件数の概況(平成24年1月~12月)】
1.保健所等におけるHIV抗体検査件数(確定値)は 131,235件で過去5位(過去最高は平成20年177,156 件)
2.保健所等における相談件数(確定値)は153,583 件で過去8位(過去最高は平成20年 230,091件)
《まとめ》
1.平成24年の新規HIV 感染者報告数は 1,001件、新規AIDS患者報告数は 445件であり、HIV感染者とAIDS患者報告数の累計は同年内に2万件を超えて21,422件となった。
2.平成24年は平成23年と比較して、
・速報値ではあるが、新規HIV感染者報告数、新規AIDS患者報告数ともに減少した。
・保健所等におけるHIV抗体検査件数はほぼ横ばいであり、相談件数は大きく減少した。
・保健所等におけHIV抗体検査件数に対する陽性件数は横ばいであった。
・速報値ではあるが、献血における10万件当たりの陽性件数は減少傾向であった。
3.経年傾向として、新規HIV感染が増加しているというデータはなく、新規の感染については横ばいとなっている可能性がある。
4.一方で、保健所等における相談件数が減少していることから、社会のHIVへの関心の低下が懸念される。
5.また、新規HIV感染者・AIDS患者報告数に占めるAIDS患者報告数の割合は依然として30%を超えたまま推移しており、検査が未だ十分行き届いていないと考えられる。国民の皆様には、積極的に検査を受けていただきたい。自治体におかれては、エイズ予防指針を踏まえ、引き続き利便性に配慮した検査相談体制を推進していただきたい。
- 感染症法に基づくエイズ患者・HIV感染者情報(平成24年10月1日~平成24年12月30日)
- 1. 性別・感染経路別患者/感染者数
- 2. 性別・年齢別患者/感染者数
- 3. 性別・感染地域別患者/感染者数
患者・感染者数の累計(平成24年12月30日現在)
- 都道府県別患者・感染者累積報告状況
- (参考) 献血件数およびHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数 (厚生労働省医薬食品局血液対策課)