2024年第34週(第34号)
(8月19日~8月25日) 発生動向総覧/感染症関連情報〔病原体情報/海外感染症情報/その他〕〔2024年9月6日発行〕
※2015年からのIDWRの変更についてはこちらから。
2024.9.3 第34週(8/19~8/25)データを掲載しました。
※2015年からはCSVデータのみの更新となります。 2015年からのIDWRの変更についてはこちら から。
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■全数把握疾患、報告数、累積報告数、都道府県別 | ||
一~五類感染症の全数把握疾患についての各週の報告数、および当年第1週からの累積報告数です。 |
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■定点把握疾患(週報告)、報告数、定点当たり報告数、都道府県別 | ||
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の報告数、および定点当たり報告数です。 | ||
■定点把握疾患(週報告)、累積報告数、定点当たり累積報告数、都道府県別 | ||
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の、当年第1週からの累積報告数、および定点当たり報告数です。 ※累積報告数は再集計されています。 |
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■疾病毎定点当たり報告数 ~過去10年間との比較~ | ||
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の過去10年間の定点当たり報告数です。 | ||
■定点把握疾患(週報告)、(1週から当該週まで)報告数・定点当り報告数 | ||
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の、当年1週から当該週までの各週の報告数、および定点当たり報告数です。 ※報告数・累積報告数は再集計されています。 |
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■動物疾患、報告数、累積報告数、都道府県別 | ||
獣医師が届出を行う感染症と対象動物についての各週の報告数、および当年第1週からの累積報告数です。 ※累積報告数は再集計されています。 |
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2024年第33週(第33号)*7月報含む
(8月12日~8月18日) 発生動向総覧/感染症関連情報〔病原体情報/海外感染症情報/その他〕〔2024年8月30日発行〕
※2015年からのIDWRの変更についてはこちらから。
IASR Vol. 45, No.8
(No. 534) August 2024
日本における過去のデング熱の流行で, デングウイルスを媒介したと考えられている蚊種は, ネッタイシマカ(Aedes aegypti)とヒトスジシマカ(Aedes albopictus)である。ネッタイシマカは世界中の熱帯・亜熱帯地域に分布し, デングウイルスの主要媒介蚊として知られている。1931年の沖縄県のデング熱流行では, 35,000人以上が罹患し, 460人以上が死亡したとされている。蚊からウイルスを検出, 分離した記録はないが, 当時の民家周辺では, ネッタイシマカの密度が高く, 流行への関与が強く疑われている1)。1970年代の沖縄県での記録を最後に, 日本においてはネッタイシマカの定着は確認されておらず, 絶滅したと考えられている。ただし, 近年, 国際空港でのネッタイシマカの侵入事例が相次いでおり, それらの侵入個体から殺虫剤抵抗性遺伝子が検出されていることから, 今後, 注意が必要である2)。ヒトスジシマカはアジア原産で, ネッタイシマカと同様に重要な媒介蚊と考えられている。卵の乾燥耐性および温帯地域では越冬のために卵の休眠性を有し, 20世紀後半に物流とともにアジアから世界中に分布を広げた。ヒトスジシマカが侵入, 定着したヨーロッパにおいてデングウイルスを媒介していることから, 温帯地域の媒介蚊として非常に注目されている。1942~1944年に長崎市を初発地として佐世保市, 広島市, 呉市, 神戸市, 大阪市において, 全体の患者数が少なくとも20万人と推定されるデング熱の大流行が起きている3)。これらの地域では, ネッタイシマカが生息していなかったことから, ヒトスジシマカが関与したと考えられている3)。それから約70年後, 2014年に東京都の代々木公園を中心とした流行の際には, 推定感染地と考えられる公園から採集されたヒトスジシマカ成虫からデングウイルスが検出され, 本種が実際にデングウイルスを媒介したことが確認されている4-6)。
デング熱は, デングウイルス(Dengue virus: DENV)の感染によって生じる感染症である。DENVは, フラビウイルス科, フラビウイルス属に分類されるウイルスであり, 1-4型の4つの血清型からなる1)。また, 蚊によって媒介される節足動物媒介性ウイルスの1つであり, 主な媒介蚊はネッタイシマカ(Aedes aegypti)およびヒトスジシマカ(Aedes albopictus)である。なお, Dengue virusの“Deng”は, タンザニアのザンジバルで使われていたスワヒリ語で“Ki-dinga pepo”という「よろめく」, 「ふらつく」といった意味の言葉が語源となっている2)。