侵襲性髄膜炎菌感染症発生時 対応ガイドライン〔第一版〕
令和4年3月31日
国立感染症研究所
(掲載日:2022年4月27日)
侵襲性髄膜炎菌感染症発生時対応ガイドライン〔第一版〕 発行にあたり
1999年4月施行の感染症法において「髄膜炎菌性髄膜炎」 が全数把握の4類感染症となり (2003 年 11 月に 5 類感染症に変更)、 さらに、 2013年4月に髄膜炎菌による髄膜炎及び敗血症は 「侵襲性髄膜炎菌感染症」 として全数把握の 5 類感染症 (2015 年 5 月 21 日より , 届出方法が診断後 「7 日以内」から 「直ちに」、 さらに 2016 年 11 月 21 日以降 , 血液 , 髄液以外に 「その他無菌部位」 から病原体が検出された症例も届出対象へ変更) となった。 国内の侵襲性髄膜炎菌感染症のより正確な疫学が把握できるようになり、 その後、毎年 30-40 例の患者報告が認められてきた。 侵襲性髄膜炎菌感染症の患者集積は稀ではあるものの、 症状の進行の早さとその重篤度から患者が 1 例でも出たら 「アウトブレイク」 と捉え、 「即対応」 が原則となる。 本ガイドラインは侵襲性髄膜炎菌感染症が発生した場合に、 迅速かつ効率的に情報収集を実施することにより、 濃厚接触者の把握や 2 次感染予防のための対策 (予防投薬や緊急ワクチン接種) 実施の対象や範囲を決定する一助として作成したものである。また、侵襲性髄膜炎菌感染症は、特に国際的なマスギャザリング (第 8 項を参照)における患者発生のリスクの高さが指摘されていることから、 マスギャザリングに関連した患者発生時の対応も意識した構成となっている。 なお、 髄膜炎菌に関しては不明な点が多く、 今後新しい知見 (エビデンス) が得られた場合など、ガイドラインの適宜改訂が必要である。 侵襲性髄膜炎菌感染症の現場対応時の参考になれば幸いである。
2022 年 3 月 31 日
筆者一同