国立感染症研究所

2012年第1週から2018年第33週までの感染症発生動向調査におけるA型肝炎の報告状況

国立感染症研究所 感染症疫学センター
2018年8月22日現在
(掲載日:2018年8月31日)

感染症発生動向調査において、2018年第2週以降のA型肝炎の増加傾向が観察されていることから、発生動向のまとめについて、第33週(8月13~19日)までに更新された情報における概要を記述する。A型肝炎の感染経路は食事等の経口感染の他に、性的接触があり、特に2018年は男性の同性間性的接触による感染が増加している。

【概要】
1.2012年第1週から2018年第33週までの発生動向

2012年から2017年までの感染症発生動向調査におけるA型肝炎の報告数は、全国的な流行が見られた2014年(433例)を除き(参考1)、年間約100~300例で推移した。

hepA 180831 fig1
図1.感染症発生動向調査におけるA型肝炎の報告数
     (診断週2012年第1週~2018年第33週, n=2,183)

一方、2018年は第33週時点で665例が報告され、第2週以降ベースライン*を超え、第6週以降は閾値(+2SD[標準偏差])を超えて推移している。なお、東京都、神奈川県、大阪府などの都市部を中心に国内の複数地域より患者の報告がみられる。
*ベースライン:2014年を除く2012~2017年の同一診断週及びその前後2週の移動平均

2.2015年第1週~2018年第33週の性・年齢分布

2018年第1週から第33週まで(以下、2018年)に診断・報告されたのは665例で、前回情報(第24週まで)より248例増加した。665例の年齢中央値は37歳[範囲:2–85歳,四分位範囲:29-46歳]で、2015~2017年(以下、過去)の報告798例(年齢中央値44歳[範囲:0-99歳,四分位範囲:31-59歳])と比較し低下していた。2018年の男女別年齢中央値は男性が37歳、女性が46歳であった。性別は2018年の男性の割合(91%)が過去の報告(61%)と比較して高かった。

3.2015年第1週~2018年第33週の感染源・感染経路

推定される感染経路は2018年の報告では、経口感染の割合(37%)が過去の報告(74%)と比較して低く、性的接触(51%)が過去の報告(4%)と比較して高い割合であった。特に、男性における性的接触の割合が(56%)で、過去の報告(5%)と比較して高く、女性における性的接触の割合(3%)は、過去(1%)と比較して大きな変化はなかった。男性で性的接触により感染した人の内訳として、同性間性的接触の人数は2018年の報告(297人)が過去の報告(2015年~2017年の累積数:17人)と比べて多かった。

4.2015年第1週~2018年第33週の症状

報告された症状は肝機能異常(2018年88%、過去88%)が最も多く、次いで全身倦怠感(2018年84% 、過去83%)、黄疸(2018年69%、過去68%)の順に高い割合であった。「肝性脳症および/または意識障害」を呈した症例は2018年の第31週時点で2例(0.3%)あり、過去3年間(2015~2017年)の2例(0.2%)と同数になった。

5. 国内の対応(参考2)

厚生労働省健康局結核感染症課から、「A型肝炎報告数増加に伴う注意喚起について(協力依頼)」(平成30年7月18日健感発0718第2号)が地方自治体、医師会、感染症関連の学会等へ発出された。本通知では、A型肝炎の発生状況が例年より増加していること、推定される感染経路として性的接触が多いことについての注意喚起がなされるとともに、感染者等に対する指導として手洗い等の衛生管理が重要であること、曝露リスクの高い者(感染者の同居者やパートナー等)へ予防接種に関する情報提供を検討すること及び、医療機関に対してはA型肝炎と診断した場合の留意事項が併せて伝えられた。

また、自治体と連携した民間団体等により、A型肝炎に関する基礎知識、症状、予防接種等についての学習会等が実施されている。

参考:
  1. 2014年のA型肝炎流行状況について (IASR Vol. 36 p. 3: 2015年1月号) https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2303-related-articles/related-articles-419/5312-dj4191.html
  2. A型肝炎患者の報告数増加に伴う注意喚起について(協力依頼)
    健感発0718第2号 平成30年7月18日付(厚生労働省健康局結核感染症課長)
    1. 都道府県、保健所設置市、特別区 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou19/index.html
    2. 日本感染症学会 http://www.kansensho.or.jp/news/gakkai/1807_hepatitis_a.html
    3. 日本性感染症学会 http://jssti.umin.jp/pdf/Agatakanenhasseikensuchui.pdf

 


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