国立感染症研究所 感染症疫学センター
2020年10月31日現在
(掲載日:2021年2月25日)

梅毒は2011年から2018年まで継続して報告数が増加していたが、2019年は減少に転じた。2019年の総報告数は6642例(男性4387、女性2255)であり、男女ともに2018年より減少していた(図1‐3)。近年、特に増加していた早期顕性梅毒も減少傾向となった。2019年の先天梅毒は男女合わせて23例であり、2000年以降最多であった。

図1.梅毒報告数、2000-2019年
図2.男性における梅毒報告数、2000-2019年
図3.女性における梅毒報告数、2000-2019年

2019年の人口10万当たり報告数は5.26(男性7.46、女性3.72)であり、男女とも2011年以降初めて増加を認めなかった(図4)。

図4.梅毒の報告率(人口10万当たり報告数)、2000-2019年

2019年の報告の年齢分布は、男性では35-39歳が最も多いが、20代から50代にかけて幅広いピークを認める傾向は2014年頃から継続していた(図5)。女性では、20-24歳が最も多い傾向が継続していた(図6)。

図5.男性における梅毒報告の年齢分布、2012-2019年
図6.女性における梅毒報告の年齢分布、2012-2019年

感染経路別の男性では、2013年から2018年まで異性間性的接触による感染が急増し、2019年は異性間性的接触が多数を占める傾向は継続していたが、報告数は減少に転じた(図7)。また、男性の同性間性的接触による感染は2008年以降増加を続けていた。女性では、異性間性的接触による感染が大多数であったが、2014年以降増加していた報告数は2019年には減少した(図8)。

図7.男性の感染経路別梅毒報告数、2000-2019年

注)感染経路が異性間・同性間、その他、母子感染の報告は報告数が少ないため省略

図8.女性の感染経路別梅毒報告数、2000-2019年

注)感染経路が異性間・同性間、その他、母子感染の報告は報告数が少ないため省略

2019年の報告数が多かった都道府県は、順に、東京都1701例、大阪府1101例、愛知県366例、兵庫県287例であった。2019年の人口10万人当たりの報告数でみても、東京都12.2、大阪府12.5などと大都市圏で人口あたりの報告の割合は高かった(図9)。一方で、近年、地方において人口10万人当たりの報告数が増加している県もあった。

図9.都道府県別梅毒報告数、2017-2019年

男性の梅毒のうち、感染経路に同性間性的接触を含む症例を『同性間』、異性間性的接触を含む症例を『異性間』とし(重複症例あり)、その届出状況について記載する。2019年の病型分布は、同性間では、早期顕性Ⅱ期409例(49%)、無症候264例(31%)、早期顕性Ⅰ期148例(18%)、晩期19例(2%)であった。異性間では、早期顕性Ⅰ期1470例(56%)、早期顕性Ⅱ期675例(26%)、無症候452例(17%)、晩期顕性48例(2%)であった(図10)。 年齢群については、同性間は20~40歳代、異性間は20~50歳代と、いずれも幅広い年齢で多く報告されており、年齢分布に大きな違いは認められなかった(図11)。2019年に最も多く報告された年齢群は、同性間で25~29歳、異性間で35-39歳であった。

図10.男性の同性間・異性間性的接触者における病型別梅毒報告数
図11.男性の同性間・異性間性的接触者における梅毒報告の年齢分布

 


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