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リニューアルした日本エイズ学会ウェブサイト

(IASR Vol. 40 p171-172:2019年10月号)

はじめに

どの学会でもウェブサイトをどう運営していったらいいのか, どう維持したらいいのかを悩んでいるのではないかと思う。日本エイズ学会も, かなり昔に開設したウェブサイトをそのまま使っていた。しかし, そろそろ変えるべきであろうということになり, 2018年11月に全面的にリニューアルした。本稿では, 本エイズ学会リニューアルの経緯について言及しつつ, 日本エイズ学会のウェブサイトについてご紹介したいと思う。

旧サイトの何が課題であったのか

リニューアルにあたっては, 2018年2月に学会内でワーキンググループを立ち上げることにした。旧サイトの課題はいくつもあったが, 最大の課題はアクセス数が少ないことにあった。年に1度の学術集会開催時にアクセス数は急激に増えるものの, それ以外はほぼアクセスされていないという課題である。

では, その課題はどうクリアできるのだろうか。検討の結果, いくつもの方向性がワーキンググループのメンバーから提案されたが, 最終的には以下のようにとりまとめられた。

● 近年のウェブサイトはシンプルさが求められる流れになってきている。現状のウェブサイトはごちゃごちゃしている上に情報過多であり, シンプルなサイトにするべきである。

● 基本的に上に古い情報, 下に新しい情報があるために, スクロールをしないと新しい情報が見られない欠点があり, 上下逆にするべきである。

● ポータルサイトとしての役割を持たせ, HIV感染症についての主要な情報については, 日本エイズ学会のウェブサイトを見ればアクセスできるようにすることで, 日常の情報窓口としての役割を果たせるようにしたい。

などである。他にも多くあったが, ここではごく一部を紹介するにとどめたい。

日本エイズ学会新ウェブサイトは何が特徴的か

こうして, これらの提案を, ウェブサイトの具体に活かすべく, 担当業者と密に連絡をとりながら, グランドデザインを決め, 微調整を図っていくこととした。また, 日本エイズ学会は新しいロゴマークを制作し2017年11月に発表したにもかかわらず, ウェブサイトには活かされていなかったため, このロゴマークをトップに持ってくることとした。

結果として, 以下のような特徴の新サイトができた(https://jaids.jp/)。

● わかりやすいシンプルなトップページとした。メニューも整理してHOME, 学会について, 学術集会・総会, 学会誌, 学会認定制度, 入会のご案内, リンクのみにした。

● スマートフォン(スマホ)最適化を行い, スマホユーザーにとっても見やすいサイトとした。

● トップページにはお知らせとメニューを置き, また直近の学術集会・総会, HIV感染症「治療の手引き」NIID, UNAIDSなど, 頻繁にアクセスするサイトについてはトップページでバナー表示することにした(図1)。

● 学会誌は新しい号から表示することとし, すぐにPDFでダウンロードできるようにした。

● 学会認定制度について整理し, 見やすい形にした。

● 入会案内を, これまでのファックスあるいはメール対応だったものを, 入会様式をウェブサイト上に作成し, 入会できるようにした。

● 英語のページを制作し, 国際化への対応を図った。

● リンク先を見直し, 学会員にとって役立つと思われるものに厳選した。さらに, リンク基準を新たに示し, サイトの運営主体・組織が明確であること, 情報源が明示されていること, 3年以内に更新されていること, プライバシーポリシーが掲載されていることなどを, 日本エイズ学会ウェブサイトでリンクするサイトと定めた(図2)。

以上が新ウェブサイトの主要な特徴である。しかし, 実際には, デザイン面でも細かい内容面でも旧サイトと比して相当な違いがある。まだご覧になっていない方は, ぜひ一度アクセスしていただきたい。

今後の展開に向けて

現時点でアクセス解析からみえている大きな特徴は以下の2つである。

● パソコンからのアクセスが予想外に多い。6割近くがパソコン, 3割程度がスマホである。

● 土日はアクセス数が激減するが, 平日はおおむね一定のアクセスがある。おそらく医療関係者らが出勤している合間に各種情報や論文を探そうとアクセスしているものと思われる。

前者からして, パソコンでの使い勝手を今後もより意識しなければならないかもしれない。後者は, 今回のリニューアルの狙いに沿ったユーザーの動き方ができていると理解している。

いったんは完了したリニューアル。しかし, ウェブサイトというものは, ユーザーの皆さまとともに育てていくものだと考えている。読者の皆さんもHIVにかかわる折にはアクセスし活用していただければと思うのと同時に, 改善してほしい点などあれば, 声を寄せてもらえると大変にありがたい。

 
 
日本エイズ学会理事
国立がん研究センター
 井上洋士

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan