風しん含有ワクチンの第1期・第2期定期接種率調査(2016~2020年度の推移)
(IASR Vol. 43 p11-12: 2022年1月号)
風疹の定期予防接種(以下, 定期接種)は, 2021年度現在, 第1期(1歳児)および第2期(5歳以上7歳未満:小学校入学前1年間)の2回接種に加えて, これまで風疹の定期接種を受ける機会がなかった1962(昭和37)年4月2日~1979(昭和54)年4月1日生まれの男性を対象に, 第5期定期接種として実施されている。定期接種に用いるワクチンは原則, 麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)である。
定期接種率を迅速に公表し, 積極的な勧奨に繋げていくことが重要として, 厚生労働省は2008年度から毎年, 全国の都道府県・市区町村の協力により麻しんと風しんワクチンの定期接種率調査を実施している。
調査結果は, 国立感染症研究所感染症疫学センターで集計後, 厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/hashika.html)と国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles/221-infectious-diseases/disease-based/ma/measles/550-measles-vac.html)のホームページに都道府県別, 市区町村別に公表されている。
本項では2020年度の風しん含有ワクチン接種率の概要と, 2016~2020年度の推移を示す。
1)第1期(1歳児):2020年度の風疹定期接種率は98.5%と高く, 2010年度から11年連続して目標の95%以上を達成した。2018年度は47都道府県すべてで95%以上の接種率が達成され, 全国の接種率も98.5%と高かったが, 2019年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により2020年1~3月の接種率が低下し, 接種率95%未満の都道府県が17道府県に増加した(図1)。定期接種を遅らせないように啓発が進められた結果, 2020年度の第1期接種率は98.5%に上昇し, 接種率95%未満の都道府県も1県のみとなった。
2)第2期(5歳以上7歳未満:小学校入学前1年間):2020年度の接種率は94.7%であり, 目標の95%以上は達成されていない。90%未満の都道府県はなく, 95%以上の接種率を達成した県は27となった(図2)。
風疹排除を達成するためには, 第1期・第2期の定期接種率を高く維持するとともに, 感受性者が蓄積している1962(昭和37)年4月2日~1979(昭和54)年4月1日生まれの男性への第5期定期接種率を上げていくことが重要である。