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診療ガイドライン等に基づくマイコプラズマ肺炎治療の現況

(IASR Vol. 45 p10-12: 2024年1月号)
 

感染症診療ガイドラインの策定には, 地域における年齢による病原微生物の検出頻度等の疫学データならびに, 各微生物の抗菌薬感受性に関する情報が必要である。肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae: M. pneumoniae)は, マクロライド系抗菌薬, テトラサイクリン系抗菌薬, ニューキノロン系抗菌薬に感受性を有していたが, 2000年以降にマクロライド耐性M. pneumoniae株が出現1-3)して増加した。マクロライド耐性株の検出率は, 世界的に地域差があり, さらに小児において高率なため, 推奨される抗菌薬を含めて診療ガイドラインの内容も, 国内外および年齢により差異がある。さらに, 2020年以降世界的に流行した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は, 多くの感染症罹患率に多大な影響をきたした。M. pneumoniaeに関しても, COVID-19パンデミック前に比較して, 検出率が激減した報告4,5)が多い。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan