●家庭医向け;A型肝炎
 1947年にMacCallumらが潜伏期の異なる2種類のウイルス肝炎を区別し、潜伏期の短い方をA型肝炎、長い方をB型肝炎と命名しました。その後、KrugmannらはHAVを含む感染性血漿MS-1を分離、さらにBoggsらはMS-1の経口継代に成功し、1973年にFeinstoneらが糞便中に排泄されたMS-1ウイルス粒子を検出しました。HAVは直径27nmの正20面体粒子で、ウイルス遺伝子は1個の読みとり枠(ORF)を持つ約7500塩基長のプラス鎖RNAです。HAV粒子の蛋白質には4種類のキャプシド蛋白質(VP1, VP2, VP3, VP4)とゲノムRNAの5'末端に共有結合する蛋白質VPgがあります。ピコルナウイルス科、ヘパトウイルス属に分類されています。一部特定の培養細胞に感染、増殖しますが、その増殖速度は他のピコルナウイルスに比べ極端に遅いことが知られています。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan