病原体

 HBVDNA型の肝炎ウイルスで、ヘパドナウイルス科に分類される。直径約42nmの球状ウイルスで、外被(エンベロープ)とコアの二重構造を有している。表面を被うエンベロープ蛋白がHBs抗原、その内側のコア蛋白がHBc抗原と呼ばれる。コアの中には、不完全二本鎖のHBV DNAHBV関連DNAポリメラーゼが存在している。HBV DNAは約3,200塩基からなり、HBs抗原、HBc抗原、X蛋白質、DNAポリメラーゼをコードしている。HBVは遺伝子レベルでの分類が行われ、これまでにA型からJ型まで9種類の遺伝子型(ゲノタイプ)が同定され、この遺伝子型には地域特異性があること、慢性化率など臨床経過に違いがあることが知られている。さらに、遺伝子型Aは欧米型(Ae)、アジア・アフリカ型(Aa)に、遺伝子型Bはアジア型(Ba)、日本型(Bj)の亜系に分類されている。遺伝子型Cはアジア、遺伝子型Dは南ヨーロッパ、エジプト、インド、遺伝子型FHは中南米に分布している。日本では遺伝子型Cが多く、次に遺伝子型Bが続き、遺伝子型Cは遺伝子型Bに比べて予後が悪いと考えられている。最近、急性肝炎では海外から持ち込まれたと考えられる遺伝子型Aが急増しており、遺伝子型BおよびCと比べて慢性化しやすい。治療では、遺伝子型ABCDに比べてIFNが効果的である。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan