病原体

 HCVは一本鎖RNAウイルスで、フラビウイルス科の中でフラビウイルス属やペスチウイルス属とは異なるヘパシウイルス属に分類されている。HCVゲノムには主として6種類の遺伝子型に分けられている。電子顕微鏡での観察から、HCVは直径5060nmの球状のウイルスで、外被(エンベロープ)とコア蛋白の二重構造を有するとされている。また、HCVは約9.6kbのプラス鎖RNAをゲノムとして持ち、約3,010アミノ酸からなるポリプロテインをコードできる一つの読み取り枠(open reading frame: ORF)を有している。この前駆体蛋白質から、細胞のシグナラーゼとウイルス自身がコードする2種類のプロテアーゼによって、ウイルス粒子を形成する構造蛋白(coreE1E2p7)とウイルス粒子に含まれない非構造蛋白(NS2, NS3, NS4A, NS4B, NS5A, NS5B)が産生される。ゲノムの5’末端には、ウイルス蛋白の翻訳調節に働く領域が存在している。この領域は、多様性の高いゲノム配列の中にあって、HCVクローン間で最もよく保存されており、HCV遺伝子検出に利用される。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan