臨床症状

 A型、E型急性肝炎では突然の発熱で発症することが多いが、C型肝炎では全身倦怠感に引き続き、比較的徐々に食欲不振、悪心・嘔吐、右季肋部痛、上腹部膨満感、濃色尿などが見られるようになる。これらに続いて黄疸が認められる例もある。一般的に、C型肝炎ではA型やB型肝炎とは異なり、劇症化することは少なく、黄疸などの症状も軽い。慢性肝炎ではほとんどが無症状で、倦怠感などの自覚症状を訴えるのは23割にすぎない。気づかないうちに慢性の炎症状態が続き、血液検査で初めて肝機能異常を指摘されるケースも多い。肝硬変では倦怠感などの自覚症状の他に、クモ状血管腫、手掌紅斑、女性化乳房などの所見が認められることもあり、さらに非代償期に至ると黄疸、腹水、浮腫、肝性脳症による症状である羽ばたき振戦、意識障害などが出現するようになる。肝細胞癌を合併すると、初期は無症状であるが末期になると肝不全に陥り、他の癌と同様に悪液質の状態となる。

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