発生動向総覧
〈第28週コメント〉 7月17日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症:
|
報告なし |
2類感染症:
|
結核383例 |
3類感染症:
|
細菌性赤痢4例
|
|
菌種:S. flexneri (B群)2例_感染地域:長野県1例、ミャンマー1例 S. sonnei (D群)2例_感染地域:大阪府1例、国内(都道府県不明)1例
|
腸管出血性大腸菌感染症139例(有症者78例、うちHUS 2例) |
|
感染地域:国内138例、韓国1例 国内の多い感染地域:佐賀県18例*、熊本県10例、群馬県8例、東京都7例、茨城県6例、神奈川県6例、石川県6例、鹿児島県6例、青森県5例、宮城県5例、静岡県5例、三重県5例、秋田県4例、岩手県3例、福島県3例、埼玉県3例**、長野県3例、愛知県3例、山口県3例、福岡県3例 * 高齢者福祉施設で起きた集団感染例を含む(O157 VT1) ** 保育園に関連した集団感染例を含む(O157 VT1・VT2) 年齢群:0歳(1例)、1歳(6例)、2歳(2例)、3歳(5例)、4歳(2例)、5歳(2例)、6歳(3例)、7歳(3例)、8歳(2例)、9歳(2例)、10代(14例)、20代(28例)、30代(14例)、40代(8例)、50代(16例)、60代(11例)、70代(4例)、80代(13例)、90代(3例) 血清型・毒素型:O157 VT1・VT2( 41例)、O157 VT2( 25例)、O157 VT1(20例)、O26 VT1(14例)、O157 VT不明(7例)、O103 VT1(6例)、O26 VT1・VT2(3例)、O121 VT2(3例)、O6 VT1(1例)、O25 VT2(1例)、O55 VT1(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、O119 VT1(1例)、O121 VT1・VT2(1例)、O165 VT1・VT2(1例)、その他・不明(13例) 累積報告数:1,039例(有症者718例、うちHUS 18例.死亡なし)
|
|
4類感染症:
|
E型肝炎1例(感染地域:福岡県_感染源:不明) A型肝炎1例(感染地域:シンガポール) チクングニア熱1例(感染地域:インドネシア) つつが虫病1例(感染地域:新潟県) デング熱4例(感染地域:タイ2例、ラオス1例、ラオス/タイ1例) 日本紅斑熱5例(感染地域:三重県2例、愛媛県2例、徳島県1例)
レジオネラ症40例(肺炎型40例)
|
|
感染地域:茨城県3例、静岡県3例、宮城県2例、栃木県2例、群馬県2例、埼玉県2例、神奈川県2例、山梨県2例、長野県2例、兵庫県2例、北海道1例、千葉県1例、東京都1例、富山県1例、石川県1例、岐阜県1例、愛知県1例、大阪府1例、広島県1例、福岡県1例、大分県1例、国内(都道府県不明)7例 年齢群:40代(2例)、50代(8例)、60代(22例)、70代(6例)、80代(2例)
|
レプトスピラ症1例
|
|
感染地域:インドネシア 感染源:川でのレクリエーション
|
|
5類感染症:
|
アメーバ赤痢14例(腸管アメーバ症12例、腸管外アメーバ症1例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
|
感染地域:千葉県2例、大阪府2例、神奈川県1例、長野県1例、岐阜県1例、静岡県1例、国内(都道府県不明)4例、フィリピン1例、ベトナム1例 感染経路:性的接触6例(異性間5例、同性間1例)、経口感染3例、不明5例
|
ウイルス性肝炎5例 |
|
B型4例_感染経路:性的接触4例(異性間3例、同性間1例) サイトメガロウイルス1例_感染経路:不明
|
急性脳炎5例 |
|
ヒトヘルペスウイルス7型1例_年齢群:1歳 病原体不明4例_年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)、2歳(1例)、3歳(1例)
|
クロイツフェルト・ヤコブ病4例(孤発性プリオン病古典型4例)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例 |
|
年齢群:30代(1例)、60代(2例.ともに死亡)
|
後天性免疫不全症候群17例(AIDS 2例、無症候12例、その他3例) |
|
感染地域:国内11例、タイ1例、米国1例、国内/ドイツ1例、国内・国外不明3例 感染経路:性的接触15例(異性間5例、同性間10例)、不明2例
|
ジアルジア症3例(感染地域:茨城県1例、兵庫県1例、タイ1例)
侵襲性インフルエンザ菌感染症4例(うち肺炎2例_菌検出検体:血液4例) |
|
年齢群:40代(1例)、60代(1例)、70代(2例)
|
侵襲性肺炎球菌感染症10例(うち髄膜炎のみ1例、肺炎のみ8例_菌検出検体:血液8例、髄液1例、血液・髄液1例) |
|
年齢群:0歳(1例)、1歳(2例)、4歳(1例)、40代(1例)、60代(1例)、70代(1例)、80代(3例)
|
梅毒15例(早期顕症I期3例、早期顕症II期6例、無症候6例) 破傷風1例(年齢群:80代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例
|
|
遺伝子型:不明_菌検出検体:尿
|
風しん290例(検査診断例193例、臨床診断例97例)
|
|
感染地域:東京都48例、大阪府40例、兵庫県24例、神奈川県15例、京都府11例、福岡県11例、愛知県9例、鹿児島県6例、宮城県5例、千葉県5例、埼玉県4例、和歌山県4例、佐賀県4例、群馬県3例、三重県3例、滋賀県3例、広島県3例、茨城県2例、奈良県2例、山口県2例、北海道1例、福島県1例、福井県1例、岐阜県1例、静岡県1例、島根県1例、高知県1例、熊本県1例、国内(都道府県不明)76例、マレーシア1例、栃木県/グアム1例 年齢群:0歳(5例)、1歳(3例)、2歳(4例)、5~9歳(4例)、10~14歳(10例)、15~19歳(20例)、20~24歳(34例)、25~29歳(34例)、30~34歳(29例)、35~39歳(48例)、40代(60例)、50代(34例)、60代(5例) 累積報告数:12,832例(検査診断例8,771例、臨床診断例4,061例)
|
麻しん3例〔麻しん(検査診断例1例)、修飾麻しん2例〕
|
|
感染地域:愛知県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)1例 年齢群:1歳(1例)、30~34歳(1例)、40代(1例) 累積報告数:160例〔麻しん(検査診断例58例、臨床診断例57例)、修飾麻しん45例〕
|
(補)2012年第28週から2013年第27週までに診断されたものの報告遅れとして、エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道)、日本紅斑熱2例(感染地域:和歌山県1例、鹿児島県1例)、急性脳炎2例(単純ヘルペスウイルス1型1例_年齢群:0歳.エンテロウイルス1例_年齢群:3歳)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(80代)などの報告があった。
|
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第18週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(3.53)、宮崎県(0.29)、熊本県(0.24)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は559例と第25週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約79%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では佐賀県(2.52)、北海道(1.53)、沖縄県(1.24)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第25週以降減少が続いている。都道府県別では福井県(3.45)、大分県(3.14)、山形県(2.43)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第21週以降減少が続いている。都道府県別では大分県(9.50)、宮崎県(7.67)、愛媛県(6.65)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大分県(1.94)、和歌山県(1.48)、埼玉県(1.33)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では大分県(19.92)、山口県(17.15)、埼玉県(13.90)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では富山県(1.03)、愛知県(0.49)、新潟県(0.36)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大阪府(0.17)、佐賀県(0.09)、沖縄県(0.09)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では高知県(6.87)、熊本県(6.20)、徳島県(6.09)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では福井県(1.59)、山形県(0.83)、岩手県(0.73)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は第25週以降減少が続いている。都道府県別では青森県(2.50)、宮城県(1.58)、沖縄県(1.29)が多い。
〈6月コメント〉 ◆性感染症について(7月12日集計分、24~27ページ「グラフ総覧」参照) 4つの性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症)は性感染症定点医療機関(全国約1,000カ所)から毎月報告される。2013年6月分の報告を行った性感染症定点医療機関数は976(産婦人科・産科・婦人科:472、泌尿器科:409、皮膚科:83、性病科:12)であった。
●発生動向の概要
2013年6月は、対象4疾患の中では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。以下疾患毎に、定点当たり報告数、過去5年間の同時期との比較(図2)、男女別・年齢群(0歳、1~4歳、5~69歳は5歳毎、および70歳以上)別患者報告数又は定点当たり報告数(図3:PDF参照)の概要を示す。
|
|
図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(6月) |
性器クラミジア感染症:定点当たり報告数2.24(男性1.08、女性1.16) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男女ともに10~14歳の年齢群の報告を認めた。
性器ヘルペスウイルス感染症:定点当たり報告数0.75(男性0.32、女性0.43) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男性でやや多かった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では30~34歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、男性では10~14歳の年齢群、女性では5~9歳、10~14歳の年齢群の報告を認めた。男女ともに50代以降の報告が少なくないが、これらの報告の中には再発例が含まれている可能性がある。
尖圭コンジローマ:定点当たり報告数0.52(男性0.30、女性0.22) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では25~29歳の年齢群、女性では25~29歳の年齢群であった
淋菌感染症:定点当たり報告数0.81(男性0.65、女性0.16) 定点当たり報告数は過去5年間の同時期と比較すると、男女ともに大きな変化は認められなかった。年齢群別でみた定点当たり報告数のピークは男性では20~24歳の年齢群、女性では20~24歳の年齢群であった。また、女性では5~9歳、10~14歳の年齢群の報告を認めた。
●若年層における定点当たり報告数推移 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15~29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられた後、男性では2009年以降、女性では2010年以降は減少が鈍化していた。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年から減少傾向だが、2010年以降はほぼ横ばいであり、女性では2006年以降減少傾向がみられた後、2009年以降は増減を繰り返し、ほぼ横ばいであった。尖圭コンジローマは男女ともに2006年以降減少傾向がみられた後、2010年以降はほぼ横ばいであった。淋菌感染症は男性では2003年以降、女性では2004年以降減少傾向がみられた後、男女ともに2007年以降はほぼ横ばいであった。
◆薬剤耐性菌について(7月12集計分) (7月12日集計分、28~29ページ「グラフ総覧」参照)
4つの薬剤耐性菌感染症(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症、薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症、薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症)は、2次医療圏毎に1カ所以上定められた病床数300以上の基幹定点医療機関(全国約500カ所)から毎月報告される。2013年6月分の報告を行った基幹定点医療機関数は474であった。
●発生動向の概要 MRSA:定点当たり報告数3.29(前月3.51) 定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の66%を占めていた(図1:PDF参照)。男女比(男性/女性)は1.7であった。
PRSP:定点当たり報告数0.51(前月0.70) 定点当たり報告数は、2011年までは春から初夏と冬に多く推移していたが、2012年は年間を通じて報告数が少なく、季節性変動が明確でなかった。過去10年間の同月との比較では最も少なかった。報告数は小児と高齢者に多く、5歳未満が全体の44%を占める一方、70歳以上が全体の32%を占めていた(図2:PDF参照)。男女比(男性/女性)は1.4であった。
MDRP:定点当たり報告数0.08(前月0.06) 定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向があったが、2012年は年間を通じてほぼ一定であった。報告数は高齢者に多く、70歳以上が全体の63%を占めていた(図3:PDF参照)。男女比(男性/女性)は1.9であった。
MDRA:定点当たり報告数-(前月0.00) 定点当たり報告数は、報告数が極めて少ないため傾向の把握が困難である。今月の報告は無かった(図4:PDF参照)。
|