国立感染症研究所

国立感染症研究所 感染症疫学センター
2020年12月現在
(掲載日:2021年4月25日)

 

2014年9月19日よりカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae: CRE)感染症が感染症法に基づく5類全数把握対象疾患となり、CRE感染症発症患者が報告されるようになった。届出対象はCREによる感染症を発症した患者であり、保菌者は対象外である(届出基準、届出票についてはhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-1.html参照)。なお、届出票の「症状」については届出時点の臨床診断名であり、CREが検出された検体との一致を求めてはいない。また、感染症法上のCRE判定基準値は病院でしばしば用いられる基準と異なることがある(文末参考)。

2020年12月日現在、2019年第1週[2018年12月31日]~第52週[2019年12月29日]に診断されたCRE感染症は2,333例であり(図1)、うち届出時点の死亡例は66例(3%)であった。

男性は1,481例(64%)、診断時の年齢中央値は76歳(四分位範囲 67-84)であり、65歳以上が1,848例(79%)を占めた。診断名は、尿路感染症 782例(34%)、菌血症・敗血症 556例(24%)、肺炎493例(21%)の順に多かった(表1)。分離検体は、尿725例(31%)、血液628例(27%)、気道検体 480例(21%)の順に多く報告された(表2)。菌種は、Klebsiella aerogenes 956例(41%)、Enterobacter cloacae 652例(28%)、Klebsiella pneumoniae 198例(8%)、Escherichia coli 130例(6%)の順に多く報告された(表3)。

報告数は、2015年-2017年と比べ2018年に増加、2019年は2018年と同程度であった。2019年の届出状況を、CRE感染症が全数把握疾患となった2014年9月以降2018年までの届出状況と比較すると、診断名および分離検体の内訳は同様の傾向であった。分離菌種については、2014年から2016年まではE. cloacaeがもっとも多く報告されていたが、2017年、2018年ではK. aerogenesが最も多く報告されており、2019年も同様の状況だった。薬剤耐性をメロペネムの基準で判定した症例は1,004例 (43%)、イミペネムかつセフメタゾールの基準で判定した症例は1,908例 (82%)であった。また、両者の基準で判定した症例が620例(27%)あった。なお、感染症法上のCRE判定基準値は病院でしばしば用いられる基準と異なることがある(文末参考)。CREは全ての都道府県から報告されており、東京都 236例(10%)、神奈川県207例(9%)、大阪府200例(9%)の順に報告数が多かった。

 

 

図1. CRE感染症の年別報告数、2014年-2019年 

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表1.2019年CRE感染症2,333例の診断名

cre 210423 tbl1

表2.2019年CRE感染症の届出2,333例の分離検体内訳

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    表3.2019年CRE感染症2,333例の分離菌種、重複あり

cre 210423 tbl3

参考 感染症法の届出及び米国Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) 2012における微量液体希釈法による各抗菌薬の耐性(R)の判定基準値

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