国立感染症研究所 感染症疫学センター
2018年10月27日現在
（掲載日：2019年5月23日）

2014年9月19日よりカルバペネム耐性腸内細菌科細菌（CRE）感染症が感染症法に基づく5類全数把握対象疾患となり、CRE感染症発症患者が報告されるようになった。

2018年10月27日現在、2017年第1週［2017年1月2日］～第52週［2017年12月31日］に届け出られたCRE感染症は1,660例であり、うち届出時点の死亡例は61例（4％）であった。

男性は1,024例（62％）、診断時の年齢中央値は76（四分位範囲 67-83）歳であり、65歳以上が1,331例（80％）を占めた。

CREは全ての都道府県から報告されており、東京都 213例（13％）、大阪府138例（8％）、福岡県133例（8％）の順に報告数が多かった。

診断名は、尿路感染症 538例（32％）、菌血症・敗血症 397例（24％）、肺炎 339例（20％）の順に多かった。

分離検体は、尿514例（31％）、血液426例（26％）、気道検体 317例（19％）の順に多く報告された。

薬剤耐性をメロペネムの基準で判定した症例は862例 (52%)、イミペネムかつセフメタゾールの基準で判定した症例は1,272例 （77%）であった。また、両者の基準で判定した症例が504例（30％）あった。なお、感染症法上のCRE判定基準値は病院でしばしば用いられる基準と異なることがある（文末参考）。

菌種は、Enterobacter aerogenes 564例（34％）、Enterobacter cloacae 483例（29％）、Klebsiella pneumoniae 161例（10％）、Escherichia coli 141例（8％）の順に多く報告された（表2）。

2017年の届出状況を、CRE感染症が全数把握疾患となった2014年9月以降2016年までの届出状況と比較すると、診断名および分離検体の内訳は同様の傾向であった。分離菌種については、2014年から2016年まではE. cloacaeがもっとも多く報告されていたが、2017年はE. aerogenesがもっとも多く報告された。