国立感染症研究所

国立感染症研究所 感染症疫学センター
2019年12月27日現在
(掲載日:2020年8月5日)

2014年9月19日よりカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症が感染症法に基づく5類全数把握対象疾患となり、CRE感染症発症患者が報告されるようになった。届出対象はCREによる感染症を発症した患者であり、保菌者は対象外である(届出基準、届出票についてはhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-1.html参照)。なお、届出票の「症状」については届出時点の臨床診断名であり、CREが検出された検体との一致を求めてはいない。また、感染症法上のCRE判定基準値は病院でしばしば用いられる基準と異なることがある(文末参考)。

2019年12月27日現在、2018年第1週[2018年1月1日]~第52週[2018年12月30日]に診断されたCRE感染症は2,289例であり(図1)、うち届出時点の死亡例は71例(3%)であった。

男性は1,460例(64%)、診断時の年齢中央値は76歳(四分位範囲 67-84)であり、65歳以上が1,834例(80%)を占めた。診断名は、尿路感染症 755例(33%)、肺炎476例(21%)、菌血症・敗血症 254例(11%)の順に多かった(表1)。分離検体は、尿683例(30%)、血液623例(27%)、気道検体 440例(19%)の順に多く報告された(表2)。菌種は、Klebsiella aerogenes 880例(38%)、Enterobacter cloacae 636例(28%)、Klebsiella pneumoniae 204例(9%)、Escherichia coli 167例(7%)の順に多く報告された(表3)。薬剤耐性をメロペネムの基準で判定した症例は1,032例 (45%)、イミペネムかつセフメタゾールの基準で判定した症例は1,847例 (81%)であった。また、両者の基準で判定した症例が629例(27%)あった。CREは全ての都道府県から報告されており、東京都 234例(10%)、神奈川県233例(10%)、大阪府195例(9%)の順に報告数が多かった。

2018年の報告は1600例前後で推移していた2015年-2017年と比べ増加していた。2018年の報告は、診断名および分離検体の内訳は2017年までの届出と同様の傾向であった。分離菌種は2017年からE. cloacaeに代わりK. aerogenesが最も多く報告されるようになり、2018年も引き続き、K. aerogenesの報告数とCREに占める報告割合が増加していた。

 

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