国立感染症研究所

【医療機関のみなさまへ】麻しん発生状況に関する注意喚起
(2023 年5月23日現在)

2023年4月以降、全国各地より麻しん患者4例が相次いで確認されています。

◆ 茨城県、麻しん(はしか)の患者の発生について(4月28日)     https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/yobo/kiki/yobo/kansen/idwr/press/documents/mashin.pdf

◆ 東京都福祉保健局、麻しん(はしか)患者の発生(5月12⽇)     https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/hodo/saishin/pressboueki230512.html

◆ 兵庫県神戸市、麻しん(はしか)患者の発生(5月18日)     https://www.city.kobe.lg.jp/a00685/20230112.html

 

感染症法に基づく感染症発⽣動向調査及び関係⾃治体による積極的疫学調査より、少なくとも3例の⿇しん患者が、共通の公共交通機関を利⽤していたことが明らかとなっております。感染性を有する期間に不特定多数の⽅と接触があった可能性があり、今後、広域的な感染拡大の可能性が危惧されます。また、4例いずれの患者も30~40代の成人で、麻しん含有ワクチンに関して記録上2回接種済の方はおられませんでした。なお、3例は入院を要する症状を呈していました。


⿇しんは、海外の多くの国で流⾏しており、インドやインドネシアではアウトブレイクが発⽣しています(2023年4月28日時点)。昨今、新型コロナウイルス感染症により制限されてきた国際的な人の往来が徐々に増加しつつあります。麻しんの症状がある国内外からの観光客が、公共交通機関等を利⽤することで国内での広域的な⿇しん患者発⽣への影響も懸念されます。

発熱、発疹、結膜炎、上気道炎症状(咳、鼻水など)などの臨床的に麻しんを疑う、さらに接触歴等により麻しんの可能性が高い患者を診察した際は、麻しんに関する特定感染症予防指針に基づき、臨床診断をした時点で、まずは直ちに最寄りの保健所に届出を行ってください。診断においては、血清IgM抗体検査等の血清抗体価の測定とともに、地方衛生研究所等におけるPCR検査などのウイルス学的検査の実施のため、保健所の求めに応じて検体(咽頭ぬぐい液、血液、尿)を提出してください。


麻しんは空気感染を含む多様な感染経路を有する感染性の強いウイルス感染症です。ワクチン接種が最も有効な予防法であることから、麻しんワクチンの着実な定期接種勧奨を実施していただくようお願いします。


<参考>
国内の麻しんの発生動向
https://www.niid.go.jp/niid/ja/hassei/575-measles-doko.html
麻しんに関する特定感染症予防指針(平成31年4月19日一部改正・適用) https://www.mhlw.go.jp/content/000503060.pdf

医療機関での対応:医療機関での麻疹対応ガイドライン第7版 https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/guideline/medical_201805.pdf

麻疹の国内伝播事例の増加に伴う注意喚起について(協力依頼) https://www.mhlw.go.jp/content/001097724.pdf

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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