まず、患者を速やかに隔離体制に移す必要があります。麻疹の診断が確定していなくても、麻疹が疑われた時点で速やかに隔離体制に移します。
次に患者の行動を速やかに調べます。患者が入院してから麻疹の診断がつくまで、同じ病棟内、同じ階、空調を共有している病棟に入院中の患者、勤務していた職員、病棟内で実習している学生、教官、患者の付き添いを含めて全員をまずリストアップします。
患者が他科の外来に受診していなかったか、別の病棟に行ったことがなかったかどうか、同じ病棟以外の医療従事者が患者と接触していなかったかどうかについても、迅速かつ詳細に調査します。
次に、それらの人々全員に対して麻疹の罹患歴、麻疹ワクチン接種歴を調べます。特に、小児や若年成人が多く入院する病棟においては、入院時にこれらの調査が行われているように平時からの対応が重要です。
記憶が曖昧な人も多いと思われますので、麻疹に対する抗体陽性が確実であるもの、麻疹にかかった家族を看病したけれども麻疹を発症しなかったもの以外の人に対しては、直ちに全員の抗体検査を実施します。抗体測定方法は、CF法以外で、最も迅速に結果が出る方法を選択します。この対策は極めて大変な作業となりますので、少なくとも医療従事者ならびに実習にくる学生、教官については、麻疹に対する免疫があることをあらかじめ確かめておくことを強くお勧めします。
抗体陰性あるいは、不十分であることが判明した人については、ワクチン接種不適当者ではないことを確認した上で、大至急麻疹ワクチン接種を検討します。麻疹患者と接触後3日以内であれば緊急ワクチン接種により発病を予防する可能性があります。また、接触後4日以上6日以内であれば免疫グロブリン製剤の注射という選択肢もあります。
しかし、いずれの方法も確実ではありませんので、抗体陰性あるいは不十分であったものは、感染の可能性がある日から5日~3週間(グロブリン製剤を投与した場合は4週間まで)、発症する可能性がありますので、麻疹感受性者(麻疹に対する免疫を持たない人)とは完全に隔離する必要があります。職員については、勤務の中止、あるいは麻疹感受性者とは確実に隔離することが求められます。もし、抗体陰性あるいは、不十分であることが判明した人が発熱を認めた場合は、速やかに麻疹の可能性を考えて、隔離体制とします。
詳細については、「医療機関での麻疹対応ガイドライン 第二版」(https://idsc.niid.go.jp/disease/measles/guideline/hospital_ver2.pdf)をご覧下さい。
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