淋菌感染症とは

淋菌感染症は、淋菌Neisseria gonorrhoeae (gonococci)の感染による性感染症である。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅する。したがって、性交や性交類似行為以外で感染することはまれである。

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国立感染症研究所 実地疫学研究センター
感染症疫学センター
2021年9月現在
(掲載日:2021年9月7日)

Neisseria gonorrhoeaeは男性の尿道炎や女性の子宮頚管炎を起こす主な病原体の一つである。感染症発生動向調査では、地方自治体が定めた国内約1000の性感染症定点医療機関が報告しており、定点医療機関数は2000年以降微増している(2000年887、2019年983)。性感染症定点医療機関では、「症状や所見から淋菌感染症が疑われ、定められた検査方法により診断した」症例を、月毎に集計し、淋菌感染症として報告している。定められた検査方法には、尿道及び性器から採取した材料、眼分泌物及び咽頭拭い液でのN. gonorrhoeaeの検出又はN. gonorrhoeaeの抗原か遺伝子の検出が含まれる。

ここでは、2000年から2020年(2020年は暫定法)における、感染症発生動向調査状の淋菌感染症の報告をまとめた。

感染症発生動向調査における淋菌感染症の定点当たり報告数は、2002-2003年をピークに減少してきており、2016年以降は男性、女性ともほぼ横ばいである(図1)。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan