国立感染症研究所

国立感染症研究所 感染症疫学センター
2020年10月31日現在
(掲載日:2021年4月25日)

薬剤耐性アシネトバクター(Multidrug-resistant Acinetobacter sp. MDRA)感染症は、2011年2月から五類感染症定点把握疾患に、2014年9月19日から五類感染症全数把握疾患となった。発生届上の定義は、広域β-ラクタム剤(基準上はカルバペネム系を示す)、アミノ配糖体、フルオロキノロンの3系統の薬剤に対して耐性を示すアシネトバクター属菌による感染症であり、保菌者は届出対象とはならない(届出基準、届出票についてはhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-4.html参照)。なお、届出票の「症状」については届出時点の臨床診断名であり、アシネトバクター属菌が検出された検体との一致を求めてはいない。また、感染症法上のMDRA判定基準値は病院でしばしば用いられる基準と異なることがある(文末参考)。

2020年10月31日現在、2019年第1週[2018年12月31日]~第52週[2019年12月29日]に診断されたMDRA感染症は24例であり(図1)、うち届出時の死亡例は3例(13%)であった。性別は男性が13例(54%)、診断時年齢の中央値は71.5歳(範囲35~95歳)で、65歳以上が全体の71%を占めた(図2)。届出時点の診断名は、肺炎54%、菌血症・敗血症25%、髄膜炎8%の順に多かった(表1)。分離検体は喀痰が63%と最も多く、次いで血液13%の順に多く報告されていた(表1)。MDRAは12都道府県17医療機関から報告されており、北海道5例(21%)、長崎県5例(21%)、大阪府3例(13%)の順に報告が多かった。

全数把握となって以降、MDRA感染症の報告数は減少傾向であったが、2019年の報告数は前年と同数であった。

図1.MDRA感染症の年別報告数、2014年*-2019年

図2. MDRA感染症症例の性別年齢分布,2019年(n=24)

表1.MDRA感染症症例の症状,菌分離検体及び感染原因、2019年(n=24)

 

参考 感染症法の届出基準及び米国 Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)2012における微量液体希釈法による各抗菌薬の耐性(R)の判定基準値

 


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