複数国で報告されているエムポックスについて
(第5報)
2023年5月10日時点
2023年5月26日一部改訂
国立感染症研究所
概要
- 2022年5月以降、欧米を中心に、これまでエムポックスの流行が報告されてきたアフリカ大陸の国々(以下、常在国)への渡航歴のない症例が報告されており、7月23日に世界保健機関(WHO)事務局長は今回のエムポックスの流行が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当すると宣言した。2022年1月1日以降、2023年5月2日までに世界で87,300例以上の症例が報告されている。
- エムポックスは小児、女性の感染例の報告もあり、誰でも感染するリスクのある疾患ではあるが、2022年5月以降常在国外で報告されている症例の多くは男性であり、男性間で性交渉を行う者(MSM; men who have sex with men)が多く含まれていることが各国から報告されている。
- エムポックスは、感染者の皮膚病変や近接した対面での呼吸器飛沫への一定時間以上の曝露(prolonged face-to-face contact in close proximity)、感染者が使用した寝具等の媒介物(fomite)により伝播することが知られてきた。今回の流行における一連の報告では、感染者に見られた病変の部位などから、性的接触に伴う伝播が中心となっている可能性が指摘されている。
- エムポックスは多くは自然軽快するが、小児や妊婦、免疫不全者で重症となる場合がある。2022年1月1日以降、2023年5月2日までに、全世界で死亡例が130例報告されている。
- 2023年5月2日現在、日本国内においては129例が探知されている。 当初は海外渡航歴や海外渡航歴のある者との接触が確認されていたが、2022年38週以降は海外渡航歴がない症例が主体である。
- WHOは2022年11月28日に、“monkeypox”としていた疾患の名称について、1年間の移行期間を経たうえで“mpox”へ変更することを決定した。2023年2月17日の厚生科学審議会感染症部会において、名称を「エムポックス」とする方針が了承され、政令改正を経て「エムポックス」に変更された(2023年5月26日公布)。これに伴い、本文書においても2023年5月26日に「エムポックス」と表記の変更を行った。
- エムポックスに類似する発疹等の症状がある場合は速やかに医療機関に相談することが望ましい。特に次のような者は、発疹の出現や体調に注意を払うことが望ましい。
➢エムポックスの患者または疑い例の者との接触のあった者
➢複数または不特定多数との性的接触があった者
なお、常在国外で報告されている症例については、皮疹の特徴や症状の経過に、これまでに知られているエムポックスの症状の特徴とは異なる所見があることが報告されており、注意が必要である。
- エムポックスは誰にでも感染するリスクのある感染症である。特定の集団や感染者、感染の疑いのある者等に対する差別や偏見は、人権の侵害につながる。さらに、受診行動を妨げ、感染拡大の抑制を遅らせる原因となる可能性がある。客観的な情報に基づき、先入観を排した判断と行動がなされるべきである。
第4報からの変更点
- 「サル痘」から「エムポックス」への表記の変更
-
国内外での発生状況の更新
-
治療薬、ワクチンに関する知見の更新
目次
- 従来のエムポックスについて
- 国外の状況
- 国内の状況
- 国内における対策
- ワクチンについて
- 治療薬について
- 動物におけるエムポックス
従来のエムポックスについて
- エムポックスは、モンキーポックスウイルス(別名 エムポックスウイルス、以後エムポックスウイルスと表記)感染による急性発疹性疾患である。感染症法では4類感染症に位置付けられている。2022年の流行以前は、主にアフリカ中央部から西部にかけて発生しており、自然宿主はアフリカに生息するげっ歯類が疑われているが、現時点では不明である。潜伏期間は通常6~13日(5~21日)とされる。症状は発熱と発疹を主体とし、多くは2~4週間で自然に回復するが、小児等で重症化、死亡した症例の報告もある。また、一般に皮膚病変が治癒し、落屑するまでの間が他者への感染性がある期間とされる。
詳細については国立感染症研究所「エムポックスとは」(国立感染症研究所, 2022b)を参照のこと。なお、2022年から主に従来の流行地外で発生しているエムポックスは、症状や主たる患者層が従来の知見とは異なることから、以降の記載を参照すること。
国外の状況
- 2022年5月7日以降、欧米を中心とした各国からエムポックス患者の報告があったが、2023年5月2日時点で世界的に減少している。
2022年5月7日に、英国は、常在国であるナイジェリア渡航後のエムポックス患者の発生を報告した。以降、欧米を中心に、常在国への渡航歴や患者への接触歴のないエムポックス症例が報告されている。世界保健機関 (WHO)は7月21日にエムポックスに関する2回目の国際保健規則(IHR)緊急委員会を開催し、IHRに基づく「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当するか議論を行なった。緊急委員会の意見をふまえ、7月23日にWHO事務局長は今回のエムポックスの流行がPHEICに該当すると宣言した (WHO, 2022a)。
また、2023年2月9日に開催された4回目のIHR緊急員会では、一部地域での報告が続いていること、獲得した免疫の持続期間に関する知見が不十分であること、一部の国でまだ予防や治療へのアクセスが少ないこと、常在国などで監視体制が縮小傾向にあることなどの問題があり、季節性や今後のイベントに伴う流行の再燃が懸念されるとした。そのうえで、すべての国が迅速かつ持続的に短期的な対策を講じるとともに、HIVや性感染症対策への段階的な統合などヒトーヒト感染を排除する長期的な対策を始める必要があるとして引き続きPHEICに該当するとした(WHO, 2023b)。
WHOに加盟している常在国を含む111の国と地域から、2023年5月2日時点で、2022年1月1日以降に診断された87,301例の確定症例が報告されている (WHO, 2023a)。地域別には、南北アメリカ59,239例(67.9%)、欧州25,881例(29.6%)であり、常在国外では前例のない規模の流行となっている。全体的な確定症例数の報告は減少しているが、一部で報告が続いている国もある。確定症例の報告数の減少に関しては、欧州疾病予防管理センター(ECDC)や米国疾病管理予防センター(CDC)が、行動変容、高リスクグループの中での免疫形成、ワクチン接種など、複数の要因が影響している可能性を指摘している(CDC, 2022c, ECDC, 2023)。
- 症例の多くは若年男性で、患者との直接的な接触による感染が疑われている。
エムポックスは、ヒトからヒトへの感染の場合、患者の皮膚病変や近接した対面での呼吸器飛沫への一定時間以上の曝露(prolonged face-to-face contact in close proximity)、患者が使用した寝具等の媒介物(fomite)により伝播することが知られている。患者の皮膚病変のほか、血液、肛門、咽頭、尿などからエムポックスウイルスが検出され、特に皮膚病変、肛門からの検体がほかの部位と比較してウイルスDNA量が多いことが報告されている(Colavita F, 2022)。また、発症19日後の患者の精液からエムポックスウイルスが分離された報告(Lapa D, 2022)や、発症54日後の精液からエムポックスウイルスのDNAが検出された報告などがあり、精液を介した感染の可能性が示唆されている一方で、77例から採取した検体で発症15日後の精液の99%でウイルス培養が陰性であったとの報告もあり(Suner D, 2023)、精液中のウイルスの感染性を有する期間については不明である。その他の部位からも、発症40日後の穿破したリンパ節、54日後と76日後の唾液からエムポックスウイルスのDNAが検出された報告があるが、感染性は不明である(Pettke A、2022)。
発症間隔が潜伏期間より短いと推定されたことから、発症前のエムポックス患者から感染伝播した可能性が示唆されている(Ward T, 2022)。
今回の流行で報告された症例の多くは男性であり、男性間で性交渉を行う者(MSM)が多く含まれていることが各国から報告されている。性別情報が得られた症例のうち、96.2%(77,685例/80,722例)は男性であり、年齢の中央値は34歳(四分位範囲:29-41歳)であった。18歳未満の症例は1.3%(1,107例/83,341例)であり、324例が5歳未満であった。性的指向(sexual orientation)の情報が得られた確定症例のうち、84.1%(25,763例/30,642例)がMSM、そのうち7.8%(2,011例/25,763例)がバイセクシャルであった。また、感染経路の判明しているもののうち、82.1%(15,588例/18,980例)が性的接触であった。医療従事者の症例も1,226例報告されているが、ほとんどは医療機関外での感染であった(WHO, 2023a)。陰部病変を有するMSMにおける性的接触での伝播が示唆されており、性的な関係のネットワークで相互につながるコミュニティの一部にエムポックスが入った可能性があることが指摘されている(ECDC, 2022a)。
一方で、海外渡航歴はあるものの感染経路不明の小児例の報告(van Furth AMT, 2022)や小児の家庭内感染の報告(Del Giudice P, 2023)、保健医療従事者の接触(fomite)感染(Salvato RS, 2022)、医療従事者の針刺し事故での感染の報告(Carvalho LB, 2022)、ピアスやタトゥーの施術施設で消毒が不十分な器具を介したと考えられる利用者間の感染伝播の報告(del Rio Garcia V, 2022)もあり、性的接触以外での感染についても注意が必要である。
ただし、セックスパートナー以外の濃厚接触があった者における継続的な伝播は報告されていないことから、ECDCは引き続きMSMの一部を含む複数のセックスパートナーを有する者におけるリスクは中程度、一方、そのほかの幅広い層の人々のリスクは低い、と評価している(ECDC, 2022c)。
- 常在国外で報告されている症例については、これまでに知られているエムポックスの症状の特徴とは異なる所見があることが報告されており、注意が必要である。
2つ以上の症状を報告した国から報告された、1つ以上の症状を有する34,028例のうち、発疹が26,987例(79.3%)と最も多くみられ、発熱が20,197例(59.4%)でみられた。発疹の中では全身性の発疹の報告が16,209例(47.6%)、性器周辺の発疹は15,009例(44.1%)にみられた。また、リンパ節腫脹は9,952例(29.2%)でみられた(WHO, 2023a)。その他合併症として、脳炎、心筋炎、関節炎などが報告されている(Badenoch JB, 2022, Rodriguez-Nava G, 2022, Fonti M, 2022)。入院の有無が判明した症例のうち77.5%(4,202例/54,189例)が隔離または治療のために入院していた(WHO, 2023a)。入院の理由として、重度の肛門直腸痛、皮膚病変のほか、心筋炎、急性腎障害、食事摂取困難なほどの咽頭痛などが報告されている(Thornhill JP, 2022)。また、HIVのコントロールが良好なHIV感染者は、非HIV感染者と同様の臨床経過をたどる可能性が指摘されている(Vivancos-Gallego MJ, 2022)一方で、HIVコントロール不良の患者で重症化した報告もされている(Miller MJ, 2022)。
今回の流行では、発疹は全身症状に先行して出現し、初期の小水疱から痂皮化したものまで様々なステージのものが非同期的に見られたこと(Antinori A, 2022, Duque MP, 2022, Hammerschplag Y, 2022,) など、過去の報告との違いが指摘されている。加えて、エムポックスを疑う症状のない者の直腸肛門検体からエムポックスウイルスが検出され、無症候性病原体保有者の存在が示唆される(De Baetselier I, 2022)が、無症候性病原体保有者が感染源となっているという直接的な証拠はなく、引き続き知見の収集が必要である(CDC, 2022b)。
- 常在国外を含め死亡例の報告がある。
2022年1月1日から2023年5月2日の期間で130例の死亡例が報告された。地域別にはアメリカ地域104例、アフリカ地域18例、ヨーロッパ地域6例、東地中海地域1例、南アジア地域1例の死亡例が報告されている (WHO, 2023a)。
- 確定診断されている事例からはクレードIIのウイルスが検出されており、全ゲノム解析の結果では近縁のウイルスが多く検出されている。
近年、感染症や病原体等の命名は、偏見防止のために地理的な名称を用いない配慮がなされており、2022年8月12日に、WHOの専門家グループでエムポックスウイルスのコンゴ盆地系統群をクレードI、西アフリカ系統群をクレードIIとし、クレードIIにサブクレードとしてIIa、IIbを設ける名称変更に合意した(WHO, 2022c)。また、WHOは2022年11月28日に、monkeypoxとしていた疾患の名称について、1年間の移行期間を経たうえでmpoxへ変更することを決定した(WHO, 2022f)。日本においては、2023年2月17日の厚生労働省厚生科学審議会感染症部会において、「サル痘」から「エムポックス」名称を変更する方針について了承され(厚生労働省, 2023b)、政令改正を経て「エムポックス」に変更された(2023年5月26日公布)。これに伴い本文書においても2023年5月26日に「エムポックス」と表記を変更した。
クレードIIは、中央アフリカで主に流行するクレードIと比較して重症化しにくく、またヒトからヒトへの伝播性が低いとされる。今回の常在国外での発生と関連している系統からの分離株の多くがクレードIIのうちクレードIIbのB.1系統とその亜系統に属している(WHO, 2023a)。これらの株は2018年に英国、イスラエル、シンガポール、ナイジェリアで解析されたウイルスと近縁であり、当時検出されたウイルスから約50塩基の変異がみられたことから、想定されるエムポックスウイルスの変異の速度より速く変異が起こっていることが示唆された。しかし、多くの変異が加わった原因や、変異が流行の動態に影響を与えているかは不明である(Isidro J, 2022)。また、米国、英国などから常在国への渡航歴があるA.2系統のウイルスも報告もされており、今回、常在国外で拡大している流行とは関連しない症例と考えられた (ECDC, 2022b, UKHSA, 2022)。
国内の状況
- 2023年5月2日時点で、国内では129例が探知されている。
エムポックスは、感染症法上で4類感染症に位置付けられており、患者もしくは無症状病原体保有者を診断した医師、感染死亡者及び感染死亡疑い者の死体を検案した医師は、ただちに最寄りの保健所への届出を行う必要がある。
2022年7月25日に、欧州でその後エムポックスと診断された者と接触した後、帰国後に発症した東京在住の成人男性が、エムポックスと診断された(厚生労働省, 2022a)。2023年5月2日時点で、国内では129例が探知されている。症例はすべて男性であり、居住自治体別の探知数は東京都76例、千葉県6例、埼玉県7例、神奈川県12例、大阪府8例、沖縄県2例、静岡県3例であり、その他茨城県、高知県、徳島県、兵庫県、香川県がそれぞれ1例であった。これまで探知された症例において、死亡例や重症例はない。症状については、無症状病原体保有者5名を除き、118例(95%)に発疹がみられ、発熱が96例(77%)でみられた。海外渡航歴のない症例が125例(97%)であり、特に2022年38週以降は海外渡航歴のない症例が主体である(厚生労働省, 2022a)
図1.発症週別エムポックス探知数 2022年5月2日~2023年5月2日
(疫学週2022年第18週~2023年第18週)(n=119)
(無症状病原体保有者5名、発症日不明者5名を除く)(2023年5月2日時点)
表1.エムポックス探知例の特徴 2022年5月2日~2023年5月2日
(疫学週2022年第18週~2023年第18週)(n=129)(2023年5月2日時点)
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項目 |
人数 |
割合 |
性別 |
男性 |
129 |
100% |
年代 |
20代以下 |
26 |
20.2% |
|
30代 |
43 |
33.3% |
|
40代 |
51 |
39.5% |
|
50代以上 |
9 |
7.0% |
有症状 n=124(96.1%) |
発疹 |
118 |
95.2% |
|
発熱 |
96 |
77.4% |
|
倦怠感 |
30 |
24.2% |
|
リンパ節腫脹 |
46 |
37.1% |
無症状 n=5 (3.9%) |
|
|
|
HIV† n=67 |
陽性 |
43 |
64.2% |
STIの既往 n=67 |
あり |
57 |
85.1% |
発症前21日間の性的接触 |
あり |
100 |
77.5% |
転帰† |
重症 |
0 |
0.0% |
|
死亡 |
0 |
0.0% |
†届出時点で把握できたもののみ
- 国内の症例においても、性的接触による感染の可能性が示唆される。
2023年5月2日時点で、国内で確認されている症例129例全てが男性であり、またそのうち、100例において発症前21日間に性的接触があったことが確認されている。2022年以降の国際的な流行で報告された症例の多くは男性であり、WHOは、男性間性的接触による感染が多いことを報告していることから、国内においても男性同士の性的接触による感染伝播が起こっている可能性が示唆される。
これらの状況から厚生労働省は、より一層、国内外の発生動向等に注意する必要があるとして、2022年5月20日に発出した地方自治体への、注意喚起と情報提供への協力依頼 (令和4年5月20日付厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡「サル等に関する情報提供及び協力依頼について」)を改正し、再度の周知徹底を促した(令和5年2月9日最終改正)。
なお、感染症法に基づき届出られたエムポックスの直近の報告数においては、感染症発生動向調査週報(IDWR)を参照のこと。
国内における対策
- 早期の患者発見と積極的疫学調査、検査体制の構築
エムポックスは、早期の患者発見と接触者の追跡により、ヒトからヒトへの感染連鎖を断つことが可能な疾患である。厚生労働省は、2022年5月20日に地方自治体に対し、注意喚起と情報提供への協力依頼を行っている(厚生労働省, 2022a)。今回の常在国外の発生ではその疫学的動向が既知の知見と異なっていることから、迅速に積極的疫学調査を行うことが求められる。実施要領については、事務連絡(厚生労働省, 2022a)に示されている。また、今般の流行の疫学的知見を踏まえ、厚生労働省は、2022年8月10日に感染症法に基づくエムポックスの届出基準の改正を行った(厚生労働省, 2022b)。エムポックスに類似する発疹等の症状がある場合は速やかに医療機関に相談することが望ましい。特に以下の者は、皮疹の出現がないか等、体調の変化に注意を払うことが重要である。疑い例に関する暫定症例定義が事務連絡に示されている(厚生労働省, 2022a)。
以下の①、②を満たす者とするが、臨床的にエムポックスを疑うに足るとして主治医が判断をした場合については、この限りではない。
① 少なくとも次の1つ以上の症状を呈している
・説明困難な急性発疹(皮疹または粘膜疹)
・発熱
・頭痛
・背中の痛み
・重度の脱力感
・リンパ節腫脹
・筋肉痛
・倦怠感
・咽頭痛
・肛門直腸痛
・その他の皮膚粘膜病変
② 以下のいずれかに該当する
・発症21日以内に複数または不特定の者と性的接触があった
・発症21日以内にエムポックスの患者、無症候性病原体保有者又は①を満たす者との接触(表. レベル中以上)があった
・臨床的にエムポックスを疑うに足るとして主治医が判断した
表2.接触状況による感染リスクのレベル
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エムポックス患者等との接触の状況 |
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創傷などを含む粘膜との接触 |
寝食を共にする家族や同居人 |
正常な皮膚のみとの接触 |
1m以内の接触歴3) |
1mを超える接触歴 |
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適切なPPEの着用や感染予防策 |
なし |
高1) |
高2) |
中1) |
中 |
低 |
あり |
― |
― |
― |
低 |
低 |
1)エムポックス常在国でのげっ歯類との接触を含む
2)寝具やタオルの共有や、清掃・洗濯の際の、各定例の体液が付着した寝具・洋服等との接触を含む
3)接触時間や会話の有無等周辺の環境や接触の状況等個々の状況から感染性を総合的に判断すること
また、国内においてエムポックス疑い例に対して迅速に確定診断のための検査を実施できる体制が整えられている。病原体検査のために必要な検体採取、保存方法については、事務連絡(厚生労働省, 2022a)に示されている。
- エムポックスの患者等への注意事項
皮疹が完全に治癒し、落屑するまでの間(概ね21日程度)は周囲のヒトや動物に感染させる可能性があるため、感染者はヒトやペットの哺乳類との接触を避けるべきである。また、小児や妊婦、免疫不全者との密な接触も避けるべきである。また、性的接触についてはすべての皮疹が消失してから原則8週間は避けるべきである。
接触者についても、接触後21日間は症状が出ないか注意し、発症時には速やかにヒトやペットの哺乳類との接触を避け、医療機関を受診することが求められる。また、症状が出ていない場合でも、小児や妊婦、免疫不全者との密な接触や、性的接触をできる限り控えるべきである。
エムポックスの患者又は疑いとされた方は当面の間、献血は控えるよう厚生労働省から示されている。また接触者は、接触後21日間は献血を避けるべきである(厚生労働省, 2022c、日本赤十字社, 2022)。推奨される感染予防策については、「エムポックス患者とエムポックス疑い例への感染予防策」(国立感染症研究所、国立国際医療研究センター国際感染症センター, 2022)を参照のこと。
感染者が飼育しているペットに関して、感染者が発症後にペットと接触していない場合、自宅外で世話をしてもらうように知人など依頼し、回復後に自宅を消毒してから自宅に戻すことが推奨される。また、感染者が発症後にペットと接触した場合は、そのペットは、最終接触から21日間、ヒトや他の哺乳類との接触を避けることが推奨される。感染者が自宅でペットの世話をする場合は皮疹を覆い、サージカルマスクを着用することが推奨される。一方で、ペットがエムポックスに感染した可能性がある場合、ケージなどにいれて隔離し、接触する場合は手袋、サージカルマスク、目の防護具、ガウンの着用が推奨される。
- 臨床的対応体制の構築
➢ 診療指針について
今般の流行における臨床徴候の詳細については、国立国際医療研究センター国際感染症センター「エムポックス(Mpox)の診療指針 ver. 2.1」を参照のこと。
➢ 治療薬、ワクチンについて
ワクチンについては、痘そうワクチンであるLC16ワクチンのエムポックスへの適応追加が2022年8月2日に承認された。日本国内においてエムポックスに対して承認された治療薬はない。なお、欧州・米国等で承認されている天然痘治療薬が治療に有効であることが示唆されている。
以下のとおり、エムポックスの患者への治療薬の投与、接触者へのワクチン接種に関する臨床研究を実施している。
・ 国内で発生したエムポックスの患者に対してTecovirimatを投与し、安全性・有効性を評価する介入研究
・ サル痘予防における痘そうワクチンの有効性及び安全性を検討する観察研究患者又は接触者が本臨床研究の要件に合致し、当該者が臨床研究に関する説明を受け合意した場合には臨床研究に参加することが可能である。
- リスクコミュニケーションとコミュニティアウトリーチ活動
リスクコミュニケーションとコミュニティアウトリーチ活動は、重要な感染症アウトブレイク対策のひとつである。
サル痘(エムポックス)のリスクコミュニケーションとコミュニティアウトリーチ活動として、国立感染症研究所、国立国際医療研究センター、MSMコミュニティのCommunity Based Organization (CBO)、厚生労働省、自治体と協力し、ガイダンスや疾患啓発文書などを作成、全国の自治体や保健所、医療機関等で活用いただくために公開、配布した(参考:サル痘の啓発資料)。MSMコミュニティセンターとの対話を維持することで、コミュニティのニーズや優先順位、情報のギャップや誤情報を理解することが可能である。
- 差別や偏見への対策
エムポックスは誰でも感染するリスクのある感染症である。特定の集団や感染者、感染の疑いのある者等に対する差別や偏見は、人権の侵害につながる。さらに、受診行動を妨げ、感染拡大の抑制を遅らせる原因となる可能性がある。偏った情報や誤解は差別や偏見を生むため、客観的な情報に基づき、先入観を排した判断と行動がなされるべきである(WHO, 2022d)。
ワクチンについて
- WHOは、暫定ガイダンスにおいてエムポックスに対するワクチンとしてLC16ワクチンを含む痘そうワクチンの使用を推奨している。
痘そう(天然痘)ワクチンは、痘そうウイルスやエムポックスウイルスと同じオルソポックスウイルス属の一つであるワクシニアウイルスをワクチン株として使用したワクチンである。痘そうワクチンのエムポックスに対する予防効果については、天然痘根絶後の1980年代のコンゴ民主共和国でのデータでは85%と推定しているものがある(Fine PE, 1988)。また、2003年に米国で発生したエムポックスアウトブレイクの事後の調査では、痘そうワクチン接種者にはエムポックスウイルスに対する防御免疫が誘導されていたことが示されている(Karem KI, 2007, Hammarlund E, 2005)。オルソポックスウイルス属のウイルス間の抗原交叉はよく知られており、天然痘の根絶以後は、痘そうワクチンの効果については、動物実験で、当該動物種に感染し病原性のあるオルソポックスウイルス属のウイルスをチャレンジウイルスとして検討されてきた。その中で、サルにおけるエムポックスに対する予防効果についても示されてきた。
日本で開発された痘そうワクチン(一般名:乾燥細胞培養痘そうワクチン)は、天然痘の根絶期に使われたワクチン株であるリスター株を親株として作成されたLC16m8株由来の弱毒化生ワクチン(以下、LC16ワクチン)であり、痘そうに対する予防ワクチンとして承認されている。LC16ワクチンは、サルにおいて、エムポックスに対して、前世代ワクチン(天然痘根絶期に使われていたワクチン)に比べて中和抗体誘導量は低下する(Kennedy JS, 2011)が、前世代ワクチンと同様に高い発症予防効果が示されている(Saijo M, 2006, Iizuka I, 2017, Gordon SN, 2011)。また、ヒトにおいては、エムポックスウイルスに対する交叉中和抗体を誘導することが示されている(Kennedy JS, 2011)。痘そうワクチンのエムポックス予防効果については、引き続き科学的知見を取得する努力が求められているが、天然痘予防における痘そうワクチンの使用実績やこれらの動物モデルでの実験結果、限定的な疫学研究、観察研究の結果を踏まえて、WHOは、暫定ガイダンスにおいてエムポックスに対するワクチンとしてLC16ワクチンを含む痘そうワクチンの使用を推奨している(WHO, 2022b)。我が国においても2022年8月2日にLC16ワクチンのエムポックスへの適応追加が承認された。
LC16ワクチンの安全性については、昭和49年度に約5万人の小児に接種され、重篤な有害事象は報告されなかった。また詳細に臨床症状を観察し得た10,578例での発熱率は7.7%であり、その他の有害事象もいずれも軽症だった(山口, 1975)。成人の接種においても、米国での154人の治験(Kennedy JS, 2011)、2002年から2005年に国内で行われた接種3,221例 (Saito T, 2009)においても、重篤な有害事象は報告されていない。
米国では、ワクチン未接種者におけるエムポックスの発症は、MVA-BNワクチン1回接種後14日経過した者と比較して7.4倍(95%信頼区間: 6.0–9.1)、2回接種後14日経過した者と比較して9.6倍(95%信頼区間: 6.9–13.2) 高かったとの報告がある(Payne AB, 2022)。また、400人のエムポックス患者のうちMVA-BNワクチン接種後の症例が90例あり、そのうち69例は14日以内の発症であることから、ワクチン接種前にエムポックスに曝露した可能性が示唆された一方、28日以降に発症したものが8例含まれたと報告された(Hazra A, 2022)。
イスラエルからは、MVA-BNワクチンの1回接種により、エムポックス感染リスクを86%減少させたと報告された(Sagy YW, 2022)。
米国でワクチン有害事象報告システムに登録された、MVA-BNワクチンを投与された1,350例(18歳未満13例を含む)の報告では、685例(51%)で有害事象が報告された。皮内接種と皮下接種で有害事象の頻度に差はなかったが、皮内接種は膨疹が形成されないなどの手技上の問題がみられた。重篤な有害事象は14例報告され、2例のワクチン接種後の死亡が報告されたが、ワクチンとの関連は不明であった 。18歳未満では投与時の失神が1例みられたのみであった(Duffy J, 2022)。
ヒトにおけるエムポックスに対するワクチンの有効性の程度や有害事象を明らかにするには、引き続き知見の集積が必要である。
- 曝露後予防として濃厚接触者が当面接種を考慮する対象と考えられる。また、曝露前予防として高リスクグループ(複数の性的パートナーがいるゲイ・バイセクシュアルその他MSMを自認する者等)について、副反応や接種痕の形成等のリスクコミュニケーションを十分に実施した上で、リスクベネフィット及び国内の流行状況等をふまえ、接種機会の提供について検討する必要があると考えられる。
エムポックスの流行を防ぐ手段として、現時点でのリスクとベネフィットを考慮すると、痘そうワクチン(日本ではエムポックスへも適応追加済みとなっている)の集団接種は必須ではなく、また世界的に推奨されていない。WHOは、サーベイランスや早期診断・治療、接触者追跡等の公衆衛生対応で流行のコントロールは可能であると考えられるが、これらの公衆衛生対策を追加的に補完する方法としてワクチン接種が検討されるべきであるとしている(WHO, 2022b,e)。接種は、リスクとベネフィットを勘案したケース・バイ・ケースの判断となるが、エムポックス患者の接触者に対する曝露後ワクチン接種(PEPV:Post-exposure Preventive Vaccination)、職業曝露高リスク者、高リスクグループに対しての一次予防(曝露前)ワクチン接種(PPV:Primary preventive vaccination)が推奨されている(WHO, 2022b)。
PEPVについては、エムポックス患者の濃厚接触者(患者の性的パートナー、同居人、適切な個人防護具を着用せずに患者の皮膚、粘膜、体液、呼吸器飛沫、体液に汚染された物質(寝具など)に触れた可能性のある人)について、発症リスクと重症化予防を目的として、曝露後14日以内かつ発症前、理想的には曝露後4日以内の接種が推奨されている。PPVは、職業曝露高リスク者(エムポックス患者に接する可能性のある医療従事者、エムポックスウイルスを取り扱うラボ従事者、エムポックス診断を実施する臨床ラボ従事者、アウトブレイク対応チーム)及び高リスクグループ(複数の性的パートナーがいるゲイ・バイセクシュアルその他MSMを自認する者等)に対して推奨されている(WHO, 2022b)。ECDCが実施した数理モデルによる曝露前・曝露後ワクチン接種の意義の検討では、設定された条件下※でPPVの接種率が20%の場合、接触者の追跡成功率を上げなければアウトブレイクを抑制する確率に大きな変化はないが、PPVの接種率が80%の場合、12週後までにアウトブレイクを抑制する確率が75%以上まで上昇するとしており、特に接触者の追跡が困難な場合にPPVは有効なワクチン接種戦略であるとして、加盟各国で個別に接種対象が検討されている(ECDC, 2022c)。
※症例の隔離がほぼ実施され2次感染を防ぐ効果が90%、接触者の追跡が定期的な接触(家庭内等特定の人との接触)の50%、非定期的な接触(イベント等での不特定多数との接触)の10%で成功し、ワクチン接種が有症状者の発生から6週間後に開始されたと仮定している。
WHOは、痘そう/エムポックスワクチンの使用はエムポックスのコントロールと伝播の予防に有効であることが期待される一方で、ヒトにおけるエムポックス感染に対する予防効果についての臨床や実社会でのデータは非常に限られており、臨床的な効果や最も適切な使用については未知の部分が多数存在するとしている(WHO, 2022b)。PEPVの有効性については、天然痘撲滅前の実使用の使用経験や動物モデルを用いたデータから検討されてきた。しかし、現在発生しているエムポックスの感染経路と臨床症状は、これまでよく知られている古典的なエムポックスのそれとは異なっている。また、PEPVの動物モデルも、ウイルスの動物への曝露方法やワクチンの投与経路やタイミングの設定において、ヒトの臨床症状を代替する評価モデルとして確立されたものではない(Keckler MS, 2013)。フランスで実施された観察研究では、276人のエムポックス接触者に対してPEPVを行い、うち12人で接種後25日までにエムポックス感染がみられたと報告された(Thy M, 2022)が、ヒトにおけるPEPVがエムポックスの発症予防にどの程度有効であるかについて、ランダム化比較試験など厳格な臨床試験に基づいた知見は不足している。また、PPVについても、今回の流行において、どの程度発症予防に有効であるか知見が収集されつつある段階である。このため、国内では、エムポックス患者の接触者への痘そうワクチン投与を行う臨床研究が実施されている。
感染者の接触者については、当面リスクベネフィットを評価しつつ、曝露後予防として、本人の希望に応じて接種機会を提供されるべき対象と考えられる。また、高リスクグループ(複数の性的パートナーがいるゲイ・バイセクシュアルその他MSMを自認する者等)については、曝露前感染予防として、副反応や接種痕の形成等のリスクコミュニケーションを十分に実施した上で、リスクベネフィット及び国内の流行状況等をふまえ、接種機会の提供について検討が必要と考えられる。
なお、WHOの暫定ガイダンスで推奨されている高リスクグループへのPPVについては、主としてコミュニティにおける流行抑制を目的とするものであるが、現在の国内の発生状況に留意し、今後の国内の発生状況によってはアクセスを速やかに確保することを検討する必要が生じうる。
治療薬について
-
いくつかの抗ウイルス薬について、in vitroおよび動物実験での活性が証明されており、エムポックスの治療に利用できる可能性があるが、エムポックスに対する薬事承認を得ているのはEUにおけるテコビリマット(Tecovirimat, ST-246/TPOXX)のみである。
テコビリマットは、米国SIGA Technologies 社が開発した抗ウイルス薬であり、2018年に米国で経口の抗天然痘薬として承認され、2022年5月に同適応の静注薬として承認された(US FDA, 2018, SIGA, 2022)。また、エムポックスの治療薬としては承認されていないが、食品医薬品局(FDA)が規定する治験薬への拡大アクセス(Expanded Access to Investigational New Drugs for Treatment Use (EA-IND))プロトコル下で使用されている。EUでは天然痘、ワクシニア症、エムポックス、牛痘に適応がある経口薬として承認された(European Medicines Agency, 2022)。いずれも臨床試験で効果を評価することは困難であることから、非ヒト哺乳類(サル)を含む複数の動物での致死的チャレンジ試験のデータにより有効性が評価されている。エムポックスに対する効果については、サルにおけるエムポックスの致死的チャレンジ試験でも有効性が確認されている(US FDA, 2018, Grosenbach DW, 2018)。
英国から報告されたヒトでのエムポックスの治療例1例では、他の抗ウイルス薬であるブリンシドフォヴィル(brincidofovir)で治療された3例と比較して、症状及び上気道ウイルス排出期間が短く、退院までに有害事象は確認されなかった(Adler H, 2022)。また、米国から3例、ドイツから3例報告されたヒトでのエムポックスの治療例の報告では、いずれの症例も重症化せず経過し、重篤な有害事象は確認されなかった(Matias WR, 2022, Hermaussen L, 2022)。ヒトにおける安全性は359人で評価された報告があり、最も多い副作用は頭痛(10人に1人程度)と吐き気(最大10人に1人程度)で後遺症なく回復している(European Medicines Agency, 2022, Grosenbach DW, 2018)。
また、ヒトでの第2世代天然痘ワクチン接種後の重篤な副反応例に対しての治療目的の使用例があるが(Vora S, 2008, CDC, 2009, Lederman ER, 2012, Whitehouse ER, 2019, Lindholm DA, 2019)重篤な副作用は見られていない。
米国からはEA-INDプロトコル下でテコビリマットを投与されたHIV感染者254人を含むエムポックス患者549人の報告があり、情報の得られた369人のうち、12人(3.5%)で頭痛、悪心、視覚障害、衰弱、精神症状などの有害事象がみられた。また、情報の得られた174人の自覚症状改善までの期間は、HIV感染者と非HIV感染者で差は見られなかった(O‘Laughlin K, 2022)。
国内においても、特定臨床研究としてテコビリマットを投与した2例について、重篤な副反応や重症化の兆候はなく、速やかな症状の改善とウイルスの消失がみられたことを報告されている(Inada M, 2023)
動物におけるエムポックス
- サル、げっ歯類などでエムポックスの感染事例の報告があり、ヒトと動物の間でエムポックスウイルスが伝播する可能性がある。
エムポックスは1958年にカニクイザルの疾患として初めて報告された疾患であり、アフリカ大陸中央部から西部においてげっ歯類(ネズミの仲間)が自然界における宿主と考えられている。2003年に、アフリカから輸入されたげっ歯類を介して米国に持ち込まれたエムポックスウイルスが動物取扱業者でプレーリードッグに感染し、さらにヒトに感染させた事例が報告されている(CDC, 2022a)。症状については、サル等の霊長類では、皮疹・粘膜病変、発熱、リンパ節腫脹、呼吸器症状等が見られ、プレーリードッグやげっ歯類では、皮疹・皮膚粘膜病変等の症状が見られる一方で、無症状感染も見られる(CFSPH, 2022)。
英国は今回のエムポックスの流行開始後に実施した、エムポックス確定例が自宅で飼育しているペットに関する調査結果を報告した。それによると、2022年6月から9月の間に40例が飼育している154頭(うちイヌ42頭,ネコ26頭)が観察対象となったが、エムポックスの症状を呈したペットはいなかった(Shepherd W, 2022)。一方で、自宅隔離中のエムポックスの感染者と接触したペットのイヌが感染し、皮膚粘膜病変を発症したとされる事例が報告されているが(Seang S, 2022)、感染していたという証拠は不十分であるという指摘がある(Sykes JE, 2022)。現在まで、イヌからヒトへ感染した事例、ヒトからイヌ以外の他の動物種への感染事例の報告はない。
しかし、多くの動物種がエムポックスウイルスを媒介する可能性があることから、エムポックスの感染者は野生動物やペットとの接触を避けるべきである。なお、CDCやECDCは、エムポックスへの感染を理由にその動物を安楽死させることは推奨していない。
注意事項
迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。
謝辞
本文書作成にあたり、国立国際医療研究センター国際感染症センターにご協力をいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
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関連項目
- 国立感染症研究所 エムポックス
更新履歴
2023/5/26 政令改正に伴い、「サル痘」から「エムポックス」に名称変更
第5報 2023/5/10時点 注)第4報からタイトル変更
「複数国で報告されているエムポックスについて」
第4報 2022/11/9時点
第3報 2022/9/13時点
第2報 2022/7/12時点 注)第1報からタイトル変更
「複数国で報告されているエムポックスについて」
第1報 2022/5/24時点
「アフリカ大陸以外の複数国で報告されているエムポックスについて」