エムポックス*(下記脚注参照)は, オルソポックスウイルス属に属するモンキーポックスウイルス(別名エムポックスウイルス: MPXV)の感染によって起こる感染症で, 感染症法上の4類感染症に指定されている。MPXVは主に感染動物や, 感染患者の血液・体液・皮膚病変との接触により伝播することが知られてきた。MPXVの自然宿主は現在も明らかになっていないが, アフリカの熱帯雨林に生息するげっ歯類が自然宿主であり, サルなどの哺乳類は偶発的に発生する宿主である可能性が高い。流行はアフリカ地域でみられてきたが, アフリカ地域以外の輸入感染事例としてヒト集団におけるアウトブレイクが発生したのは2003年の米国での事例が初めてである。この事例では, ガーナから輸入されたげっ歯類に感染していたMPXVがプレーリードッグに伝播し, そのプレーリードッグとの接触が原因とされ, ヒトからヒトへの伝播は確認されていない。他にもナイジェリア国内で動物から感染したと思われる複数の感染者が, イスラエル, 英国, シンガポール, 米国を訪問し, そこで輸入症例として確認された事例がある。これらの事例でもヒトからヒトへの伝播は院内感染1例, 家族間感染2例にとどまっていた(本号3ページ)。
複数国で報告されているエムポックスについて
(第5報)
2023年5月10日時点
2023年5月26日一部改訂
国立感染症研究所
概要
第4報からの変更点
国内外での発生状況の更新
治療薬、ワクチンに関する知見の更新
目次
複数国で報告されているエムポックスについて
(第4報)
2022年11月9日時点
2023年5月26日一部改訂
国立感染症研究所
概要
複数国で報告されているエムポックスについて
(第3報)
2022年9月13日時点
2023年5月26日一部改訂
国立感染症研究所
概要
2022年8月12日
2023年5月26日 一部修正
国立感染症研究所
目次
1.病原体・感染経路などについて
Q1_1. 「エムポックス」とは何ですか?
Q1_2. エムポックスウイルスとは何ですか?
Q1_3. エムポックスはどこの地域で発生していますか?
Q1_4. なぜこの感染症は「サル痘」と呼ばれていたのですか?
Q1_5. 動物からヒトに感染しますか?
Q1_6. ヒトからヒトに感染しますか?
Q1_7. 子どもも感染しますか?
2.症状について
Q2_1. どのような症状がありますか?
Q2_2. 感染すると死亡してしまいますか?
Q2_3. エムポックスを疑う症状があらわれたときは、どうしたらよいですか?
3.国内の状況について
Q3_1. 日本国内の状況は、どうなっていますか?
Q3_2. 感染研はどのような取り組みを行っていますか?
4.予防について
Q4_1. 何に気を付けたら良いですか?
Q4_2. 同居する家族がエムポックスに感染してしまったら、家庭内で感染を広げないために、何に気を付けたら良いですか?
Q4_3. エムポックスにワクチンはありますか?
Q4_4. 動物を飼育していますが、何かすることはありますか?
Q4_5. 動物園や動物とのふれあいは避けなければいけませんか?
5.治療、検査、調査などについて
Q5_1. 治療方法はありますか?
Q5_2. 医療機関を受診して、エムポックスの感染が疑われる場合、どんな検査を受けることになりますか?
Q5_3. エムポックスの疑いで医療機関を受診した場合や、入院した場合、費用が掛かりますか?
※ 2023年5月26日、改正政令によって名称が「サル痘」から「エムポックス」に変更されたことに伴い、一部内容を修正しています。