国立感染症研究所

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2008~2012年に倉敷中央病院において分離されたMycoplasma pneumoniae のマクロライド系薬剤耐性率とMIC値について

(IASR Vol. 33 p. 265-266: 2012年10月号)

 

2008年1月~2012年8月に当院において分離されたMycoplasma pneumoniae 74株(男性45株、女性29株)のうち70株を対象にマクロライド系薬剤耐性23S rRNA遺伝子変異、p1遺伝子による菌型、VNTR P1_AGT、各種薬剤の最小発育阻止濃度(MIC)測定を行った。

当院における年次別M. pneumoniae 分離株数は2008年22株、2009年10株、2010年8株、2011年30株、2012年9月6日現在4株であり、2011年はマイコプラズマ感染症の流行年であったと考えられる。

今回検討したM. pneumoniae 70株中46株(65.7%)がマクロライド系薬剤耐性23S rRNA遺伝子変異株(A2063G)であった。70株中58株は20歳未満(最低年齢4カ月)で分離されており、A2063G変異がみられたのは43株(74%)であった。20歳以上(最高年齢86歳)の分離株は12株で、変異がみられたのは3株(25%)のみであり、若年齢層でのマクロライド系薬剤耐性化が進んでいることが示唆された。p1遺伝子による菌の型別結果は、1型菌が63株(90%)、2c型菌が5株(7.1%)、2a型菌が2株(2.9%)で、2cと2a型菌にA2063G変異を持つものはみられなかった。また最近、p1遺伝子にはAGTの3塩基が繰り返し、その数に多型がみられる部位(VNTR:variable-number tandem repeat)が見つかった1) 。このp1遺伝子のVNTRマーカー(VNTR P1_AGT)を調べると、6が21株(30%)、7が21株(30%)、8が15株(21.4%)、5が6株(8.6%)、9が5株(7.1%)、11と13が各1株(1.4%)であった。

MIC測定検査が実施できた45株の中でA2063G変異のみられた26株の各種薬剤MIC値(μg/ml)は、アジスロマイシン(AZM)が16-64、クラリスロマイシン(CAM)が64->256、エリスロマイシン(EM)が256->256、クリンダマイシン(CLDM)が16-128、ミノサイクリン(MINO)が0.125-1、テトラサイクリン(TC)が0.25-0.5、レボフロキサシン(LVFX)が0.25-0.5、シプロフロキサシン(CPFX)が0.5-1であった。マクロライド系耐性遺伝子変異株において比較的MIC値が低いマクロライド系薬剤はAZMであった。また、マクロライド系耐性遺伝子変異がみられなかった19株におけるMIC値は、AZMが0.0001-0.001、CAMが0.001-0.008、EMが0.002-0.016、CLDMが0.25-1、MINOが0.25-0.5、TCが0.125-0.5、LVFXが0.125-0.5、CPFXが0.5-1であった。

 

参考文献
1) Zhao F, et al., J Clin Microbiol 49: 3000-3003, 2011

 

倉敷中央病院臨床検査科
藤井寛之 大森章恵 中川尚久 橋本 徹 影岡武士
岡山県環境保健センター細菌科 中嶋 洋
国立感染症研究所細菌第二部 見理 剛 柴山恵吾

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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