(IASR Vol. 39 p60-61: 2018年4月号)
日本は2015年にWHO西太平洋地域麻疹排除認証委員会(RVC)から麻疹排除状態にあると認定を受けた。麻疹排除状態とは 「質の高いサーベイランス体制が存在する特定の地域において, 12カ月間以上にわたり麻疹ウイルスの地域性流行*がない状態」 とされている(*土着, 輸入にかかわらず12カ月以上にわたり特定の地域で存続しているウイルス株による感染伝播)。一方, 排除を達成した地域でも, 12カ月間以上伝播を継続した麻疹ウイルスが存在した場合, 麻疹の流行が再興したとされる1)。今後も日本が麻疹排除状態にあると認定されるには, 国内で12カ月間継続して伝播した麻疹ウイルスが存在しないことを示す必要がある。本稿では2016年において日本の麻疹排除状態が継続しているかをウイルス遺伝子の解析から検討した。