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アジアにおけるマクロライド耐性百日咳菌の検出状況

(IASR Vol. 42 p115-116: 2021年6月号)

 
はじめに

 中国ではマクロライド系抗菌薬に耐性を示す百日咳菌(macrolide-resistant Bordetella pertussis: MRBP)が流行し, アジア地域への拡散が危惧されている。これまで欧米などではMRBPの散発例が報告されていたが, MRBPの大規模な流行は世界で初めてのことである。百日咳治療の第一選択薬はエリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬であり, MRBPの感染拡大は従来の抗菌薬治療に直接影響する。本稿ではアジア地域におけるMRBPの検出状況ならびに本菌の耐性機序と分子疫学について概要を述べる。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan