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伴侶動物由来MRSAに関する最新動向

(IASR Vol. 45 p43-44: 2024年3月号)
 
はじめに

近年, 感染症対策においてはヒトだけでなく動物も含めた『One Health』での取り組みが推進されており, 一角を担うのが伴侶動物※である1,2)。伴侶動物はヒトとのかかわりが密接であり, そのほとんどが犬猫などの哺乳類であるため, 共通感染症も多い1)。ヒトが伴侶動物と触れ合う際の感染リスクを考えるうえで, 皮膚表面に存在するブドウ球菌属は重要な指標である3)。伴侶動物に病原性を示す主要なブドウ球菌属の中で最も多い菌種はStaphylococcus pseudintermediusであるが, ヒトへの感染は稀である3,4)。一方, Staphylococcus aureusは伴侶動物における次点の優勢種であるが, ヒトと伴侶動物の両方に感染性を持つため, 飼育や触れ合いによる感染伝播が推測される3-5)

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