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小児におけるMRSA感染症について

(IASR Vol. 45 p39-40: 2024年3月号)
 

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus: MRSA)は小児においても重要な耐性菌であり, 一般診療での遭遇頻度も高い。健常成人のMRSA保菌率は2-10%で, 小児の保菌率はそれより高いとされているが, 地域や人種によっても異なる。新生児期から小児期にかけての, 黄色ブドウ球菌の保菌率を調べた縦断研究によると, 生後8週までに40-50%の児が母親由来の黄色ブドウ球菌を保菌するが, 生後6か月時点では保菌率は21%まで下がるとされている1)。低下の理由として, 黄色ブドウ球菌への免疫反応の発達と, 上咽頭での他の微生物と競合が起こること, の2つが影響しており, また, 肺炎球菌の保菌率と黄色ブドウ球菌の保菌率が逆相関する, との報告もある2)

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